国民医療費とは
当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。
国民医療費に含まれるもの
・医科診療や歯科診療にかかる診療費
・薬局調剤医療費
・入院時食事・生活医療費
・訪問看護医療費等
国民医療費に含まれないもの
・正常な妊娠・分娩に要する費用
・健康の維持・増進を目的とした健康診断,予防接種等に要する費用
・固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用
「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」の結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/19/dl/kekka.pdf
この結果の概要は,それほどボリュームのあるものではありません。
国民医療費に関する問題を解いた時には,必ず後で確認しておくと良いと思います。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題71 「平成27年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,日本の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 入院と入院外を合わせた医科診療医療費の割合は,国民医療費の70%を超えている。
2 国庫と地方を合わせた公費の財源割合は,国民医療費の50%を超えている。
3 65歳以上の国民医療費の割合は,国民医療費の70%を超えている。
4 公費負担医療給付の割合は,国民医療費の70%を超えている。
5 人口一人当たりの国民医療費は,60万円を超えている。
平成27年は2015年ですから,かなり前のデータです。
しかし,古くても傾向が大きく変わっていないので,年度を変えると今でも問題として成り立ちます。
なぜなら扱うデータの規模が大きいので,年度によって大きく変化しないためです。
それでは解説です。
1 入院と入院外を合わせた医科診療医療費の割合は,国民医療費の70%を超えている。
これが正解です。
診療種類別国民医療費の内訳(2019) 年度は以下同じ
医科診療医療費 72.0%
入院医療費 38.1%
入院外医療費 33.9%
歯科診療医療費 6.8%
薬局調剤医療費 17.7%
入院時食事・生活医療費 1.8%
訪問看護医療費 0.6%
療養費等 1.2%
数字は細かく覚える必要はありません。「医科診療医療費は7割を超える」という覚え方で十分です。
そうすると,ほかのもので3割を超えるものはないことが自然と引き出されるからです。
この覚え方は,以下も同じです。
2 国庫と地方を合わせた公費の財源割合は,国民医療費の50%を超えている。
財源別国民医療費
公費 38.3%
保険料 49.4%
その他 12.3%
日本の医療保障は,社会保険制度を取り入れていることから,公費が社会保険を上回るようには,制度設計はなされません。
3 65歳以上の国民医療費の割合は,国民医療費の70%を超えている。
年齢階級別国民医療費
65歳未満 39.0%
65歳以上 61.0%
4 公費負担医療給付の割合は,国民医療費の70%を超えている。
制度区分別国民医療費
公費負担医療給付分 7.3%
医療保険等給付 45.2%
後期高齢者医療給付分 35.3%
患者等負担分 12.3%
5 人口一人当たりの国民医療費は,60万円を超えている。
人口一人当たりの国民医療費
総数 35.2万円
65歳未満 19.2万円
65歳以上 75.4万円
70歳以上 83.5万円
75歳以上 93.1万円