医療保険制度における「療養の給付」とは,医療の現物給付のことです。
〈療養の給付の内容〉
・診察 ・薬剤・治療材料 ・処置,手術その他の治療 ・在宅療養(居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護) ・入院療養(病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護) |
第31回・問題72 日本の公的医療保険の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険医療機関が受け取る診療報酬は,審査支払機関の立替金によって賄われる。
2 被保険者でない患者の医療費は,医療機関の立替金によって賄われる。
3 社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う保険者である。
4 調剤薬局は,医療保険にかかる費用の請求機関の対象外となる。
5 特定健康診査の費用は,療養の給付の対象外となる。
制度を確実に覚えておかなければ,正解できない問題です。
国家試験に合格した人は「社会福祉士の国家試験は,日本語の問題だ」とうそぶく人がいますが,今の国家試験は知識がない人が合格することは絶対にできません。
日本語的に消去できる選択肢もあります。しかし,それだけで確実に正解するのは難しいです。
それでは解説です。
1 保険医療機関が受け取る診療報酬は,審査支払機関の立替金によって賄われる。
審査支払機関には,
社会保険診療報酬支払基金
国民健康保険団体連合会(国保連)
の2つがあります。
保険者が保険医療機関に直接診療報酬を支払うのは大変なので,審査支払機関が保険者から委託を受けて,レセプトの審査と診療報酬の支払いを行います。
お金の流れ
保険者
↓ ↓
審査支払機関
↓ ↓
保険医療機関
審査支払機関が立て替えているわけではありません。
2 被保険者でない患者の医療費は,医療機関の立替金によって賄われる。
医療保険の被保険者ではない患者の医療費は保険適用されません。
そのため,全額を患者が支払います。
3 社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う保険者である。
社会保険診療報酬支払基金は,保険者から委託を受けて審査支払業務を行います。
保険者ではありません。
4 調剤薬局は,医療保険にかかる費用の請求機関の対象外となる。
調剤薬局も医療保険の対象です。
5 特定健康診査の費用は,療養の給付の対象外となる。
これが正解です。
「療養の給付」の内容は,前説のように
・診察
・薬剤・治療材料
・処置,手術その他の治療
・在宅療養(居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護)
・入院療養(病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護)
です。
特定健康診査の費用は含まれません。