2022年5月17日火曜日

特別養子縁組制度

回は,特別養子縁組制度を取り上げたいと思います。

 

一般的な養子(普通養子)と特別養子は,何が違うのでしょうか?

 

普通養子は,養子になっても,実親との親子関係は継続します。

特別養子は,養子になると,実親との親子関係はなくなり,養親の実子と同じように取り扱われます。

 戸籍への記載も異なります。

 

普通養子は,「養子」と記載されるのに対して,特別養子は「子」と記載されます。

 

養子が大きくなり,自分の戸籍を見て初めて自分が養子であることを知ってショックを受けたという話があります。

 

特別養子であれば,そういったこともありません。 

 

特別養子制度

 

〈特別養子縁組の成立〉

 家庭裁判所は,養親となる者の請求によって特別養子縁組を成立させる。

 

〈養親となることができる年齢〉

 25歳以上。※一方が25歳以上であれば,20歳以上であればOK

 

〈特別養子となることができる年齢〉

 15歳未満。※15歳以上であってもそれ以前に養親となる者に監護されている場合は,15歳以上でも可。その場合は,養子となる者の同意が必要。

 

〈父母の同意〉

 特別養子縁組の成立には,養子となる者の父母の同意が必要。※虐待,悪意のある遺棄などの場合は,同意は必要とされない。

 

〈監護の状況〉

 特別養子縁組を成立させるには,養親となる者が養子となる者を6か月以上監護した状況を考慮しなければならない。

 

〈実方との親族関係の終了〉

 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は,特別養子縁組によって終了する。

 

〈特別養子縁組の離縁〉

 養子の利益のため特に必要があると認めるときは,家庭裁判所は,養子,実父母又は検察官の請求により,特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。

・養親による虐待,悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。

・実父母が相当の監護をすることができること。

 

〈離縁による実方との親族関係の回復〉

 養子と実父母及びその血族との間は,離縁の日から特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。

 



今日の問題は,現在は成立しません。この問題の後に制度が変わったからです。

 

31回・問題78 特別養子縁組制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 特別養子は,15歳未満でなければならない。

2 縁組後も実親との親子関係は継続する。

3 特別養子は,実親の法定相続人である。

4 配偶者のない者でも養親となることができる。

5 養親には離縁請求権はない。

 

制度が変わったのは,選択肢1に関するものです。

 

1 特別養子は,15歳未満でなければならない。

 

この当時は,特別養子となることができるのは,以前は6歳未満でしたが,現在は15歳未満です。

今ならこの選択肢も正解です。

 

それでは,それ以外も確認します。

 

2 縁組後も実親との親子関係は継続する。

 

縁組後も実親との親子関係が継続するのは,普通養子です。

特別養子は,実親との親子関係が終了します。

 

3 特別養子は,実親の法定相続人である。

 

特別養子は,実親との親子関係が終了するので,実親の法定相続人にはなりません。

実親の法定相続人となるのは,親子関係が終了しない普通養子です。

 

4 配偶者のない者でも養親となることができる。

 

配偶者のない者は,養親となることができません。

 

5 養親には離縁請求権はない。

 

これが正解です。

 

離縁請求権のある者

・養子

・実父母

・検察官

 

養親には,離縁請求権はありません。

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