社会福祉調査は,量的調査と質的調査に分類されます。
量的調査は,仮説を証明するために実施されます。
調査の方法には,アンケートなどがあります。
質的調査は,対象の質的な特徴をつかむために実施されます。
調査の方法には,観察やインタビューなどがあります。
「社会福祉調査の基礎」が苦手だと感じるのは,量的調査の仮説の検証に用いられる統計学に関するものがあるからでしょう。
しかし,そこを除けば決して難しいものではありません。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題84 社会調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 統計調査とは,社会事象を質的に捉えることを目的とした社会調査である。
2 市場調査とは,行政の意思決定に役立てることを目的として市場の客観的基礎資料を得るための社会調査である。
3 世論調査とは,自治体の首長の意見を集約するための社会調査である。
4 アクションリサーチとは,特定の状況における問題解決に向けて調査者が現場に関与する社会調査である。
5 センサスとは,企業の社会貢献活動を把握することを目的とした社会調査である。
5つの調査を量的調査と質的調査に分類すると以下のようになります。
量的調査 |
質的調査 |
・統計調査 ・市場調査 ・世論調査 ・センサス |
・アクションリサーチ |
これらの調査の大体のイメージがつく人はかなり勉強が進んだ人だと言えます。
解説です。
1 統計調査とは,社会事象を質的に捉えることを目的とした社会調査である。
統計調査は,量的調査です。
社会事象を捉えるのは「量的」です。
2 市場調査とは,行政の意思決定に役立てることを目的として市場の客観的基礎資料を得るための社会調査である。
市場調査を行うのは。一般的には企業です。
3 世論調査とは,自治体の首長の意見を集約するための社会調査である。
世論調査は,市民(国民)の意見を調べるために行うものです。
4 アクションリサーチとは,特定の状況における問題解決に向けて調査者が現場に関与する社会調査である。
これが正解です。
アクションリサーチとは,特定の状況における問題解決に向けて調査者が現場に関与しながら行うものです。
質的調査の関与観察よりも関与の度合いが強いのがアクションリサーチの特徴です。
アクションリサーチは,地域福祉の科目でも出題されます。以下はその例です。
・実践課題の解決を重視するアクションリサーチは,研究者や専門家を関与させずに,当事者自身が地域ニーズを把握するのに適した方法である。 ×
・認知症高齢者の家族介護者の不安を軽減する方法を明らかにするため,当事者と共にアクションリサーチを実施した。 〇
2つめのものが,アクションリサーチをイメージするのに良いでしょう。
5 センサスとは,企業の社会貢献活動を把握することを目的とした社会調査である。
センサスとは,全数調査を意味するものです。
日本では,2009年から総務省が経済センサスを実施しています。
また,同じく総務省が実施する国勢調査は,外国では人口センサスと呼ばれることもあります。
これらで推測できると思いますが,センサスは,国が実施する統計調査です。