2023年6月1日木曜日

生活保護法が規定する扶助の方法

生活保護法が規定する扶助は,8種類あります。

 

原則,金銭給付であるものと現物給付であるものがあります。

 

原則,金銭給付であるもの

生活扶助

生業扶助

出産扶助

教育扶助

住宅扶助

葬祭扶助

原則,現物給付であるもの

医療扶助

介護扶助

 

医療扶助と介護扶助だけが現物給付。それ以外は金銭給付。

 

金銭給付が多いのは,貧困という福祉ニーズの多くは金銭が給付されることで,ニーズが充足されるためです。

 

医療と介護は,金銭を給付しても,実際のサービスを受けないとニーズを充足しないために,現物で給付するスタイルを取ります。

 

それに従うと,出産扶助も現物給付でも良いように思いますが,金銭給付であるところが注意ポイントです。

 

それでは,今日の問題です。

 

27回・問題65 生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活扶助は,衣食住その他日常生活の需要を満たすために必要なものを給付する。

2 居宅において生活扶助を行う場合の保護金品は,被保護者に対し個々に交付することを原則とする。

3 住宅扶助は,宿所提供施設を利用する現物給付によって行うことを原則とする。

4 出産扶助は,金銭給付によって行うことを原則とする。

5 医療扶助は,金銭給付によって行うことを原則とする。

 

この問題は多くの人が間違ったのではないかと思います。

 

この問題と同じ仕掛けが第35回でも出題されています。

 

それでは解説です。

 

1 生活扶助は,衣食住その他日常生活の需要を満たすために必要なものを給付する。

 

これが第一の引っ掛けポイントです。

 

生活扶助は,「衣食」その他日常生活の需要を満たすために必要なものを給付するものです。

 

衣食住の「」に関する需要は,住宅扶助が給付されます。

 

2 居宅において生活扶助を行う場合の保護金品は,被保護者に対し個々に交付することを原則とする。

 

生活扶助は,世帯を単位として給付します。

 

3 住宅扶助は,宿所提供施設を利用する現物給付によって行うことを原則とする。

 

宿所提供施設は,住宅扶助を目的とする保護施設ですが,住宅扶助は,原則,金銭給付です。

施設入所せずとも,家賃代等が給付されれば,ニーズは充足します。

 

4 出産扶助は,金銭給付によって行うことを原則とする。

 

これが正解ですが,これが2つめの引っ掛けポイントです。

 

出産扶助は,原則,金銭給付です。

 

5 医療扶助は,金銭給付によって行うことを原則とする。

 

医療扶助は,原則,現物給付です。医療サービスを提供(現物給付)することで医療ニーズは充足します。


 

〈今日の一言〉

 

出産扶助は,金銭給付なのか,現物給付なのか,わかりにくいものかもしれません。

 

しかし,現物給付は,医療扶助と介護扶助の2つしかないことを覚えておけば,何の混乱もなく,問題は解けるはずです。

最新の記事

子どもの貧困対策の推進に関する法律

出題基準に示されている「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は, 2024 年(令和6年)に改正され,「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」となりました。   法の目的 この法律は、貧困により、こどもが適切な養育及び教育並びに医療を受けられないこと、...

過去一週間でよく読まれている記事