2023年6月10日土曜日

生活保護法が規定する不服申立て制度

生活保護法には,不服申立て制度が規定されています。

 

不服申立てが個別法に規定されていないものは,行政不服審査法の手続きによって審査請求を行います。

 

生活保護法に,不服申立ての規定があるのは,生活保護法は日本国憲法で保障する第25条生存権を根拠とするからでしょう。

 

生活保護法では,都道府県知事に対する審査請求だけではなく,厚生労働大臣に対する再審査請求も規定しています。

 

審査請求は,処分を知ってから3か月以内に行います。

 

再審査請求は,都道府県知事の採決に不服がある場合,裁決を知ってから30日以内に行います。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題66 生活保護法に定める不服申立てに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 不服申立てが権利として認められたのは,旧生活保護法(1946年(昭和21年))制定時においてである。

2 審査請求は,市町村長に対して行う。

3 審査請求に対する裁決が50日以内に行われないときは,請求は認容されたものとみなされる。

4 当該処分についての審査請求を行わなくても,処分の取消しを求める訴訟を提起することができる。

5 再審査請求は,厚生労働大臣に対して行う。

 

この問題の正解は,とてもシンプルなものとなっているので,知識がある人には正解しやすい問題でしょう。

 

それでは解説です。

 

1 不服申立てが権利として認められたのは,旧生活保護法(1946年(昭和21年))制定時においてである。

 

旧生活保護法までは,保護は職権で行われ,保護を受ける権利は認めていませんでした。

 

不服申立てが権利として認められたのは,保護請求権が認められた現生活保護法です。

 

2 審査請求は,市町村長に対して行う。

 

審査請求は,都道府県知事に対して行います。

 

3 審査請求に対する裁決が50日以内に行われないときは,請求は認容されたものとみなされる。

 

審査請求に対する裁決が50日以内に行われないときは,請求は却下されたものとみなされます。

 

4 当該処分についての審査請求を行わなくても,処分の取消しを求める訴訟を提起することができる。

 

近年の行政不服審査法の改正によって,審査請求を行わなくても,訴訟を提起できることができる制度が多くなっていますが,生活保護法では,審査請求の裁決があった後でなければ訴訟を提起することができません。


5 再審査請求は,厚生労働大臣に対して行う。

 

これが正解です。都道府県知事の採決に不服がある場合,厚生労働大臣に対して,再審査請求することができます。

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