生活困窮者自立支援法では,都道府県,市及び福祉事務所を設置する町村が生活困窮者に対して実施するいくつかの事業を規定としています。
実施しなければならない事業(必須事業)
生活困窮者自立相談支援事業 |
就労の支援その他の自立に関する問題についての相談に応じての情報の提供,助言,関係機関との連絡調整。 |
生活困窮者住居確保給付金の支給 |
離職又はこれに準ずる事由によって,居住する家の権利を失った者,家賃を支払うことが困難になった者に対して支給する。 |
実施するよう努めなければならない事業(努力義務事業)
生活困窮者就労準備支援事業 |
雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対して,厚生労働省令で定める期間にわたり(1年を超えない期間),就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う就労の支援その他の自立に関する問題についての相談に応じての情報の提供,助言,関係機関との連絡調整。 |
生活困窮者家計改善支援事業 |
生活困窮者に対し、収入、支出その他家計の状況を適切に把握すること及び家計の改善の意欲を高めることを支援するとともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う事業。 |
実施することができる事業(任意事業)
生活困窮者一時生活支援事業 |
・一定の住居がない生活困窮者に対して,厚生労働省令で定める期間(3か月を超えない期間,都道府県等が必要と認める場合は6か月を超えない期間)にわたり,宿泊場所の供与,食事の提供その他当該宿泊場所において労働省令で定める便宜を供与する。 ・一定の住所を持つ生活困窮者,現在の住居を失うおそれのある社会から孤立する生活困窮者に対して,厚生労働省令で定める期間にわたり(1年を超えない期間),訪問による必要な情報の提供及び助言その他の現在の住居において日常生活を営むのに必要な厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
子どもの学習・生活支援事業 |
・生活困窮者である子どもに対する学習の援助。 ・生活困窮者である子ども及び当該子どもの保護者に対して,子どもの生活習慣及び育成環境の改善に関する助言を行う。 ・生活困窮者である子どもの進路選択その他の教育及び就労に関する問題に関して相談に応じて,必要な情報の提供及び助言,関係機関との連絡調整を行う。 |
その他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業 |
それでは,今日の問題です。
第30回・問題63 生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住居の確保を目的とした給付金を支給する制度が設けられている。
2 一時生活支援事業とは,住居を有する生活困窮者に対して食事の提供を行う事業である。
3 自立相談支援事業は,相談支援を通して生活困窮者に就職のあっせんを行う事業である。
4 就労準備支援事業は,3年を限度として訓練を提供する事業である。
5 家計相談支援事業は,生活困窮者の家計に関する問題につき生活困窮者からの相談に応じ,必要な資金の貸付けをする事業である。
答えはすぐわかると思いますが,解説です。
1 住居の確保を目的とした給付金を支給する制度が設けられている。
これが正解です。
生活困窮者住居確保給付金の支給は,必須事業です。
2 一時生活支援事業とは,住居を有する生活困窮者に対して食事の提供を行う事業である。
一時生活支援事業では,住居を有する生活困窮者に対しては,訪問による必要な情報の提供及び助言などを行います。
食事の提供を行うのは,住居を有しない生活困窮者に対してです。
3 自立相談支援事業は,相談支援を通して生活困窮者に就職のあっせんを行う事業である。
自立相談支援事業は,就労に関する相談支援は行いますが,就職のあっせんは行いません。
4 就労準備支援事業は,3年を限度として訓練を提供する事業である。
就労準備支援事業は,1年を超えない期間にわたって,訓練を実施します。
5 家計相談支援事業は,生活困窮者の家計に関する問題につき生活困窮者からの相談に応じ,必要な資金の貸付けをする事業である。
家計相談支援事業では,必要な資金の貸付けのあっせんは行いますが,貸付けは行いません。