生活保護法の扶助は8種類ありますが,注意すべきものがいくつかあります。
間違いやすいものを確認します。
〈間違いやすいもの〉
小中学校等の入学にかかる費用 |
生活扶助 |
高等学校の授業料 |
生業扶助 |
介護保険サービスの利用料 |
介護扶助 |
介護保険料 |
生活扶助 |
入院した時の生活費 |
生活扶助 |
施設入所した時の生活費 |
生活扶助 |
それでは,今日の問題です。
第33回・問題65 事例を読んで,R市福祉事務所のK生活保護現業員が保護申請時に行う説明に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(39歳,男性)は,妻(36歳),長男(15歳,中学生)及び次男(4歳,幼稚園児)と暮らしている。Lさんは精神障害者,妻は身体障害者であり,一家は夫妻の障害基礎年金とLさんの就労所得で生活してきた。これまでLさんはパートタイム就労を継続していたが,精神疾患が悪化して退職し,夫妻の年金だけでは生活できなくなった。Lさんは,退職に際して雇用保険からの給付もなかったので,生活保護の申請を行おうとしている。
1 生業扶助における母子加算を受給できることを説明した。
2 二人の子に対しては,それぞれ教育扶助を受給できることを説明した。
3 長男が高校に進学すれば,教育扶助から高等学校等就学費を受給できることを説明した。
4 夫妻が共に障害基礎年金を受給していても,生活保護の申請を行うことはできると説明した。
5 Lさんに精神疾患があるとしても,就労が可能である場合,生活保護の申請は行えないことを説明した。
よく今まで頑張って生活してきたと思います。
Lさんはどのような精神疾患を抱えているのかの情報はありませんが,うつ症状が悪化したのかもしれません。
しかし,この問題は事例のスタイルをとっていますが,法制度の知識を問うものなので,「どのような症状なのかわからないので答えられない」というものではありません。
それでは,解説です。
1 生業扶助における母子加算を受給できることを説明した。
さまざまな加算があるのは,生活扶助です。
母子加算も生業扶助です。
2 二人の子に対しては,それぞれ教育扶助を受給できることを説明した。
教育扶助は,義務教育にかかる費用を給付するものです。
長男は対象ですが,幼稚園児の次男は教育扶助の対象とはなりません。
3 長男が高校に進学すれば,教育扶助から高等学校等就学費を受給できることを説明した。
今日のテーマがここで登場してきました。
高等学校等就学費は生業扶助です。
ほとんど高校進学する昨今,中卒で条件のよい仕事に就くことはかなり難しいです。
高卒は,就職する技能を修得する,という意味で,高等学校等就学費は生業扶助に位置づけられています。
高等学校等就学費は,教育扶助ではありません。
4 夫妻が共に障害基礎年金を受給していても,生活保護の申請を行うことはできると説明した。
これが正解です。
障害基礎年金を受給していても最低生活の基準を下回る場合,基準に下回る部分が給付されます。
数式で表わすと以下のようになります。
給付額 = 基準額 - 収入(この場合は年金額)
5 Lさんに精神疾患があるとしても,就労が可能である場合,生活保護の申請は行えないことを説明した。
保護の申請は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができます。
申請を受理したうえで,14日以内に保護の可否を通知します。
ただし,資力調査などに時間がかかる場合は,30日まで延長することができます。
過去問題では,7日以内に通知しなければならないと出題されたことがありますが,7日ではあまりに短すぎます。