2023年6月11日日曜日

福祉事務所を設置しない町村長の役割

福祉事務所を設置しない町村長は,保護の実施機関ではありませんが,生活保護法では以下の役割が規定されています。


 福祉事務所を設置しない町村長の役割

その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して,応急的処置として,必要な保護を行うものとする。

保護の実施機関又は福祉事務所の長が行う保護事務の執行を適切ならしめるため,次に掲げる事項を行うものとする。

 

一 要保護者を発見し,又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において,速やかに,保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。

二 第二十四条第十項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取った場合において,これを保護の実施機関に送付すること。

三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,被保護者等に対して,保護金品を交付すること。

四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,要保護者に関する調査を行うこと。

 

それでは今日の問題です。

 

30回・問題66 福祉事務所を設置していない町村の役割・機能に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 町村は,社会福祉主事を置くことができる。

2 町村は,生活保護法における保護の変更の申請を受け取ったときは,保護の変更を決定することができる。

3 保護の実施機関は,町村に対し被保護者への保護金品の交付を求めることはできない。

4 町村は,被保護者に対し必要な指導又は指示をすることができる。

5 保護の開始の申請は,町村を経由して行うことができない。

 

福祉事務所を設置していない町村の役割・機能と出題されるとドキドキしますが,正解自体はシンプルなものとなっています。

 

それでは解説です。

 

1 町村は,社会福祉主事を置くことができる。

 

これが正解です。社会福祉主事は福祉事務所におかなければなりませんが,福祉事務所を設置していない町村でも,任意で配置することができます。

 

2 町村は,生活保護法における保護の変更の申請を受け取ったときは,保護の変更を決定することができる。

 

保護の決定・変更を行うことができるのは,保護の実施機関です。

 

町村は,生活保護法における保護の変更の申請を受け取ったときは,それを保護の実施機関に送付します。

 

3 保護の実施機関は,町村に対し被保護者への保護金品の交付を求めることはできない。

 

これが正解だと思う人もいるのではないかと思います。

 

しかし,法では「保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,被保護者等に対して,保護金品を交付すること」と規定しています。

 

たとえば,被保護者に対して,公営住宅の提供などが考えられます。

 

4 町村は,被保護者に対し必要な指導又は指示をすることができる。

 

被保護者に対し必要な指導又は指示をすることができるのは,保護の実施機関です。

 

5 保護の開始の申請は,町村を経由して行うことができない。

 

保護の開始又は変更の申請を受け取った場合,これを保護の実施機関に送付します。

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