2023年6月7日水曜日

生活保護法が規定する保護施設

生活保護の扶助は8種類あり,医療扶助と介護扶助は,原則,現物給付,それ以外は,原則,金銭給付となっています。

 

原則には例外があります。

 

今回のテーマは,「生活保護法が規定する保護施設」です。

 

金銭給付が原則のものでも,保護施設を利用する場合は,現物給付となります。

 

保護施設は5種類ありますが,それと何を目的とするのかを整理します。

 

施設名

施設の目的

救護施設

生活扶助を目的とする

更生施設

生活扶助を目的とする

医療保護施設

医療扶助を目的とする

授産施設

生業扶助を目的とする

宿所提供施設

住宅扶助を目的とする

 

救護施設と更生施設は,いずれも生活扶助を目的とする施設です。

 

それ以外に目的が重なっているものはありません。

 

それでは,今日の問題です。

 

21回・問題25 保護施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 保護施設のうち,救護施設,更生施設,宿所提供施設は,生活扶助を行うことを目的とする施設である。

2 保護施設の設備,運営,その施設における被保護者数等について,厚生労働大臣はその最低基準を定める。

3 保護施設の設置主体は,都道府県,市町村,地方独立行政法人,社会福祉法人,医療法人である。

4 保護施設は,保護の実施機関から保護のための委託を受けたとき,基準に基づき,入所の可否を判定することができる。

5 保護施設の長は,その施設を利用する被保護者の保護の変更,停止又は廃止の措置を行うことができる。

 

とても古い問題ですが,現在でも制度に変更がないので,そのまま使えます。

 

生活保護法は,大きな制度変更がない法制度です。

 

それでは解説です。

 

1 保護施設のうち,救護施設,更生施設,宿所提供施設は,生活扶助を行うことを目的とする施設である。

 

宿所提供施設は,住宅扶助が目的です。

 

2 保護施設の設備,運営,その施設における被保護者数等について,厚生労働大臣はその最低基準を定める。

 

これが正解です。

 

国家試験では基準を定めるのは都道府県知事であると出題されることがありますが,保護施設の基準を定めるのは,厚生労働大臣です。

 

3 保護施設の設置主体は,都道府県,市町村,地方独立行政法人,社会福祉法人,医療法人である。

 

〈保護施設の設置主体〉

・都道府県

・市町村

・地方独立行政法人

・社会福祉法人

・日本赤十字社

 

保護施設を設置できるのは,この5つのみです。


4 保護施設は,保護の実施機関から保護のための委託を受けたとき,基準に基づき,入所の可否を判定することができる。

 

保護施設は,正当な理由がある場合を除き,保護の実施機関から保護の委託を受けた時は,その者を入所させなければなりません。

 

なお,正当な理由とは,定員いっぱいで,受け入れることができない場合などです。

 

5 保護施設の長は,その施設を利用する被保護者の保護の変更,停止又は廃止の措置を行うことができる。

 

保護の変更,停止又は廃止の措置を行うことができるのは,保護の実施機関です。

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