生活保護の扶助には8種類ありますが,そのうち,最も基本的なものは,日常生活に必要な費用を給付する生活扶助です。
生活扶助基準には,第一類と第二類があり,これを合算して,さらに各種加算を上乗せして生活扶助の給付額が決まります。
第一類 |
第二類 |
個人的経費 (飲食物費・被服費など) 年齢階級別に定められている。 |
世帯的経費 (光熱水費・家具什器費など) 世帯人員別に定められている。 |
それでは,今日の問題です。
第29回・問題66 現行の生活保護基準に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助基準第一類は,所在地域によらず設定されている。
2 生活扶助基準第一類は,男女の性別ごとに設定されている。
3 生活扶助基準第一類は,年齢によらず設定されている。
4 生活扶助基準第二類は,世帯人員別に設定されている。
5 生活扶助基準第二類は,生活保護の受給期間に応じて設定されている。
今は答えがすぐわかると思いますが,しっかり覚えないとすぐ忘れるので注意が必要です。
それでは解説です。
1 生活扶助基準第一類は,所在地域によらず設定されている。
生活保護の給付には,所在地によって給付額が異なる「給地区分」があります。
給地区分が設定されているのは,以下の3つです。
・生活扶助
・住宅扶助
・葬祭扶助
そのほかの扶助(教育扶助,医療扶助,介護扶助,生業扶助,出産扶助)は,全国一律です。
この5つは,価格に地域差が生じにくいものです。そのために給地区分は設定されません。
2 生活扶助基準第一類は,男女の性別ごとに設定されている。
第一類は,年齢階級別に設定されています。
生活保護法の基本原理・原則の「基準及び程度の原則」では,「保護基準は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって,かつ,これをこえないものでなければならない」と,性別が規定されています。
実はかつては,性別も決定されていましたが,体格の男女差が小さくなったこともあり,現在は,性別は廃止されています。
基準及び程度の原則は,例外が認められる「原則であるため,第一類に性別がなくなっても,法改正しなかったのでしょう。
3 生活扶助基準第一類は,年齢によらず設定されている。
第一類は,年齢階級別に設定されています。
4 生活扶助基準第二類は,世帯人員別に設定されている。
これが正解です。
第二類は,世帯人員別に設定されています。
5 生活扶助基準第二類は,生活保護の受給期間に応じて設定されている。
生活保護の受給期間に応じて設定されているものは存在しません。
生活保護は,最低限度の生活の需要を満たすに十分なものでなければなりません。
受給期間によって減額される制度は,最低限度のラインを下回ってしまうことになります。
また,増額される制度は,最低限度のラインを超えてしまうことになります。
生活保護の基準は,最低限度のラインを下回っても上回っても不適切なものとなります。