生活福祉資金貸付制度の実施主体は都道府県社会福祉協議会ですが,申し込み先は市町村社会福祉協議会です。
それでは今日の問題です。
第33回・問題69 生活福祉資金貸付制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 借入れの申込先は,福祉事務所である。
2 借入れの申込みは,民生委員を介して行わなければならない。
3 資金貸付けと併せて必要な相談支援を受ける。
4 償還の猶予はできない。
5 総合支援資金は,連帯保証人を立てないと貸付けを受けることができない。
生活福祉資金貸付制度は,高齢者世帯,障害者世帯,低所得者世帯などに対して,生活資金を貸し付けるものです。
緊急小口資金等は,何かあった場合に,それ以外の世帯に対しても貸付を行う特例貸付が行われることがあります。
近年では,新型コロナウイルス感染症によって,売り上げや収入が減少した世帯に対して,特例貸付が行われました。記憶に新しいところでしょう。
それでは解説です。
1 借入れの申込先は,福祉事務所である。
早速,今日のテーマが出題されました。
生活福祉資金貸付制度の申し込み先は,市町村社会福祉協議会です。
2 借入れの申込みは,民生委員を介して行わなければならない。
生活福祉資金での民生委員の役割は,資金を借りる人の相談支援を担当することです。
だからといって,民生委員を介さないと申し込みができないというわけではありません。
3 資金貸付けと併せて必要な相談支援を受ける。
これが正解です。
貸付だけを行っているのではなく,相談支援も行うのが特徴です。
これには,歴史的な背景があります。
民生委員は,現生活保護法では,それまでの補助機関から協力機関になり,低所得者に対して,世帯更生運動を行っていました。
生活福祉資金貸付制度は,世帯更生運動を後押しするために,1955年(昭和30年)に創設された「世帯更生資金貸付制度」を前身とします。
1990年(平成2年)に,現在の名称に変更されています。
このような経緯のために,相談支援は同制度の重要な一面となっています。
4 償還の猶予はできない。
償還期限が過ぎると延滞利子がついてしまいます。延滞利子は,10.75%にもなります。
そのため,償還できそうもない時には,事前に,免除や猶予などの手続きを行います。
免除が認められなくても,猶予されるだけでもかなり助かるでしょう。
5 総合支援資金は,連帯保証人を立てないと貸付けを受けることができない。
生活福祉資金にはいくつかの種類がありますが,連帯保証人を立てなくても利用できる資金もあります。
総合支援資金は,原則,連帯保証人を必要としますが,連帯保証人をつけなくても利用することができます。
その場合は,有利子での利用となります。連帯保証人をつけると無利子で利用することができます。
先述の緊急小口資金は,連帯保証人を必要としません。