2023年6月8日木曜日

保護施設の設置主体

 生活保護法が規定する保護施設は,救護施設,更生施設,医療保護施設,授産施設,宿所提供施設があります。


〈第一種社会福祉事業〉

・救護施設(生活扶助が目的)

・更生施設(生活扶助が目的)

・宿所提供施設(住宅扶助が目的)


〈第二種社会福祉事業〉

・医療保護施設(医療扶助が目的)

・授産施設(生業扶助が目的)


さて,今日のテーマは「保護施設の設置主体」です。


社会福祉法が規定する第一種社会福祉事業は,設置主体が限定されるのに対し,第二種社会福祉事業は,本来は,設置主体は限定されません。


しかし,生活保護法では,保護施設の設置主体を限定しています。


〈保護施設の設置主体〉

・都道府県

・市町村

・地方独立行政法人

・社会福祉法人

・日本赤十字社


これら以外は,保護施設を設置することができません。


それでは今日の問題です。


第34回・問題66 生活保護法上の保護施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 保護施設は,救護施設,更生施設,宿所提供施設の3種類に分類される。

2 救護施設を経営する事業は,第二種社会福祉事業である。

3 特定非営利活動法人は,保護施設を設置することができる。

4 救護施設は,身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする保護施設である。

5 更生施設は,身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて,生業扶助を行うことを目的とする保護施設である。


この科目が苦手な人は,いやになるような問題かもしれません。


それでは,解説です。


1 保護施設は,救護施設,更生施設,宿所提供施設の3種類に分類される。


救護施設,更生施設,宿所提供施設の3つは,第一種社会福祉事業です。


これに第二種社会福祉事業である「医療保護施設」「授産施設」を加えて保護施設は5種類です。


2 救護施設を経営する事業は,第二種社会福祉事業である。


救護施設,更生施設,宿所提供施設は,入所施設です。

そのため,第一種社会福祉事業となります。


医療保護施設は入院もありますが,通院もあります。授産施設は通所施設です。

この2つは,通所系なので,第二種社会福祉事業となります。

入所施設が第一種社会福祉事業に規定されるのは,外部の目が届きにくいために,重大な人権侵害が発生する恐れがあるために,設置主体を限定してそれを防止するためです。


3 特定非営利活動法人は,保護施設を設置することができる。


特定非営利活動法人は,保護施設の設置主体には含まれません。


4 救護施設は,身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする保護施設である。


これが正解です。


救護施設は,生活扶助を目的とする施設です。


5 更生施設は,身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて,生業扶助を行うことを目的とする保護施設である。


更生施設も生活扶助を目的とする施設です。

生業扶助を目的とするのは,授産施設です。

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