2023年6月21日水曜日

出産育児一時金とは

出産育児一時金は,1994年(平成6年)に,分娩費と育児手当金を統合して創設されたものです。


現時点(2023年6月)では,改正が検討されているので,今後,変更になるかもしれません。


ずっとあとにこの記事を読む方は,注意が必要です。


出産育児一時金は,旧制度名が示しているとおり,分娩費と育児費用を支給するものです。


支給される金額は定額で50万円となっています。


正常分娩にかかる費用は保険適用されないため,医療機関が分娩費を自由に設定できます。

そのため,医療機関によって大きな差が生じます。


金額が低い医療機関で出産すれば,支給額内で収まり,育児費用(ベビー服,哺乳瓶など)の費用も賄えます。

しかし,金額が高い医療機関で出産すれば,支給額では全然足りなくなります。


そこで現在検討しているのが,定額支給ではなく,定率支給です。しかし,そうなると被保険者の負担はなくなるので,分娩費用を高く設定する医療機関が出てくることも懸念されるところです。


それでは今日の問題です。


第31回・問題70 日本の公的医療保険の給付内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 療養の給付に係る一部負担金割合は,被保険者が75歳以上で,かつ,現役並み所得の場合には2割となる。

2 高額療養費の自己負担限度額は,患者の年齢や所得にかかわらず,一律に同額である。

3 食事療養に要した費用については,入院時食事療養費が給付される。

4 出産育児一時金は,被保険者の出産費用の7割が給付される。

5 傷病手当金は,被保険者が業務上のケガで労務不能となった場合に給付される。


かなり難易度が高い問題です。


それでは,解説です。


1 療養の給付に係る一部負担金割合は,被保険者が75歳以上で,かつ,現役並み所得の場合には2割となる。


現役並み所得者の一部負担金割合は,3割です。


これは,介護保険も同様です。


2 高額療養費の自己負担限度額は,患者の年齢や所得にかかわらず,一律に同額である。


高額療養費制度は,月内に支払った医療費の自己負担額を合算して,自己負担限度額を超えた分を給付するものです。


年齢,所得によって自己負担限度額は異なります。


3 食事療養に要した費用については,入院時食事療養費が給付される。


これが正解です。


入院時食事療養費とは,医療療養病床以外に入院した場合に,入院中の食事にかかった費用について,標準負担額(所得によって異なる)を引いた分を保険給付するものです。


医療療養病床に入院した場合には,入院時生活療養費が支給されます。


入院時食事療養費と異なるのは,標準負担額に食事代に加えて居住費が含まれるために,標準負担額が若干高くなるところです。


4 出産育児一時金は,被保険者の出産費用の7割が給付される。


出産育児一時金は,現時点(2023年6月)では定額支給です。


5 傷病手当金は,被保険者が業務上のケガで労務不能となった場合に給付される。


傷病手当金は,業務上以外のケガで労務不能となった場合に給付されます。


業務上のケガで労務不能となった場合には,労災保険の休業補償給付が給付されます。

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