生活困窮者自立相談支援事業は,都道府県,市,福祉事務所を設置する町村の必須事業です。
就労の支援その他の自立に関する問題についての相談に応じての情報の提供,助言,関係機関との連絡調整を行います。
この費用の4分の3は,国が負担します。
福祉事務所を設置しない町村(福祉事務所未設置町村)は,生活困窮者及び生活困窮者の家族その他の関係者からの相談に応じ必要な情報の提供及び助言,都道府県との連絡調整,生活困窮者自立相談支援事業の利用の勧奨その他必要な援助を行う事業を行うことができます。
つまり任意事業として相談等を行うことができます。
しかし,費用は国の負担はないので,福祉事務所未設置町村がすべて負担することになります。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題69 低所得者の支援を行う組織や制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所未設置町村は,生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ,生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。
2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は,社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。
3 民生委員は,地域の低所得者を発見し,福祉事務所につなぐために市長から委嘱され,社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。
4 住宅を喪失した人への支援策として,無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。
5 生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護の被保護者が利用する事業である。
正解も含めて解説します。
1 福祉事務所未設置町村は,生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ,生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。
これが正解です。
これはこの時初めて出題されたものですが,ほかの選択肢は明らかに誤りなので,結果的にこれが残ります。
2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は,社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。
社会福祉主事でなければならないのは,福祉事務所に配置される現業員と査察指導員のみです。
3 民生委員は,地域の低所得者を発見し,福祉事務所につなぐために市長から委嘱され,社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。
民生委員を委嘱するのは厚生労働大臣です。
4 住宅を喪失した人への支援策として,無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。
住宅を喪失した人への支援策として実施するのは,住宅確保給付金の支給ですが,実施しなければならないのは,都道府県,市,福祉事務所を設置する町村です。
5 生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護の被保護者が利用する事業である。
生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護受給者は対象としません。
生活保護の被保護者には生活保護制度で対応できるからです。