診療報酬の支払い方式は,出来高払い方式と包括払い方式に分類することができます。
出来高払い方式は,診療を受けた分を積み上げてその合算額を支払うものです。外来診療及び急性期医療(DPC方式ではないもの)に対して,出来高払い方式が採用されています。
包括払い方式は,病気ごとに決められた金額のみを支払うものです。診療の回数などが多くても少なくても支払われる金額は変わりません。急性期医療のDPC制度の入院に対して,包括払い方式が採用されています。
基本的には,急性期医療には出来高払い方式,慢性期医療には包括払い方式が採用されていると押さえると良いと思います。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題72 診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 診療報酬の点数は,通常3年に1度改定される。
2 診療報酬点数表は,医科,歯科,在宅医療の3種類が設けられている。
3 療養病棟入院基本料の算定は,出来高払い方式がとられている。
4 地域包括ケア病棟入院料の算定は,1日当たりの包括払い方式がとられている。
5 診療報酬には,選定療養の対象となる特別室の料金が設けられている。
前説によって答えはすぐわかると思いますが,解説します。
1 診療報酬の点数は,通常3年に1度改定される。
診療報酬は,通常は2年に1回,中央社会保険医療協議会(中医協)の答申を受けて,厚生労働大臣が決定します。
2 診療報酬点数表は,医科,歯科,在宅医療の3種類が設けられている。
診療報酬の点数表の種類は,医科,歯科,調剤の3つです。
これまでの出題を見ていると,3つめを変えることが多いようです。
3 療養病棟入院基本料の算定は,出来高払い方式がとられている。
4 地域包括ケア病棟入院料の算定は,1日当たりの包括払い方式がとられている。
療養病棟入院基本料と療養病棟入院基本料がわからずとも,どちらも急性期医療ではなさそうです。
そうすると,どちらも包括払い方式だと考えることができそうです。
ということで,選択肢4が正解です。
4 地域包括ケア病棟入院料の算定は,1日当たりの包括払い方式がとられている。
5 診療報酬には,選定療養の対象となる特別室の料金が設けられている。
選定療養は,保険外併用療養費の1つです。
保険外併用療養費は,保険外の部分は自己負担となり,保険診療は保険給付するものです。
次回,詳しく取り上げます。
特別室の料金は選定療養の対象となりますが,保険外の部分の費用(この問題の場合は特別質の料金)は,医療機関が自由に設定します。