教育扶助は,義務教育の就学に係る費用を給付するものです。
それでは,義務教育ではない,高等学校の就学に係る費用は,生活保護では給付されないのでしょうか。
かつては,高等学校の就学に係る費用は,生活保護では給付されませんでした。
しかし,時代は変わり,高等学校への進学率が上がり,中卒では,就職ができにくくなりました。
就職できたとしても,給与の高い仕事は限られます。
そこで,2005年(平成17年)に生業扶助に高等学校等就学費を創設して,高等学校等への進学を可能にする道を開きました。
そんなに昔の話ではないことにびっくりする人もいるのではないでしょうか。
それでは今日の問題です。
第32回・問題65 生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助は,衣料品費,食料品費,葬祭費などを給付する。
2 教育扶助は,高等学校の就学に係る学用品費について給付する。
3 住宅扶助は,家賃等のほか,補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。
4 医療扶助は,原則として金銭給付によって行うものとする。
5 出産扶助は,原則として現物給付によって行うものとする。
気をつけなければならないのは,選択肢5の出産扶助です。
生活保護法が規定する扶助の方法
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/06/blog-post.html
それでは,解説です。
1 生活扶助は,衣料品費,食料品費,葬祭費などを給付する。
葬祭費は,葬祭扶助が給付されます。
2 教育扶助は,高等学校の就学に係る学用品費について給付する。
今日のテーマの登場です。
高等学校の就学に係る費用は,生業扶助の高等学校等就学費が給付されます。
生業扶助である理由は,高等学校等に就学することは,就職可能性を高めることになるからです。
3 住宅扶助は,家賃等のほか,補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。
これが正解です。
4 医療扶助は,原則として金銭給付によって行うものとする。
5 出産扶助は,原則として現物給付によって行うものとする。
この2つは特に注意です。
医療扶助は,原則,現物給付。
出産扶助は,原則,金銭給付。
原則,現物給付であるものは,医療扶助と介護扶助の2つです。
それ以外は,原則,金銭給付です。