2024年3月29日金曜日

想像力を働かせるには,心に余裕が必要です

 知らないものを穴埋めするのは想像力


言葉で表現するのは簡単です。しかし,どのように想像するのかは難しいところです。


チームfukufuku21はこれをずっと考えていきたいと思います。



さて,今日の問題です。



第26回・問題39

地域福祉の財源に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村社会福祉協議会の財源構成について全国的な平均をみると,会費,寄附金,共同募金配分金を合計した割合は5割程度である。

2 共同募金の方法別割合で,最も大きな割合を占めているのは戸別募金である。

3 都道府県及び市町村が設置する地域福祉基金の残高は,1991年度(平成3年度)からの地方交付税措置もあいまって,一貫して増大してきた。

4 特定非営利活動法人は,社会福祉法人と同等の税制上の優遇措置がある。

5 社会福祉法人が寄附金募集を行うことは,かつては自由に行われていたが,現在では都道府県知事の許可が必要となっている。


地域福祉の財源についての問題ですが,おそらく一問まるまる出題されることはないと思います。


そのため,覚えておきたいものと覚えておかなくてもよいものが混ざっていますが,「想像力」について考えるのはよい問題です。


それでは問題を見ていきましょう。



1 市町村社会福祉協議会の財源構成について全国的な平均をみると,会費,寄附金,共同募金配分金を合計した割合は5割程度である。


想像の結果,当たる場合と当たらない場合はあります。それでも何度も想像していくことで精度は高まります。


さて,市町村社協を考えてみましょう。福祉関係八法改正(1990)によって,在宅福祉サービスが位置づけられたのは,前回お伝えしました。


その時に,訪問介護やデイサービスなどの在宅福祉サービスの担い手になったのが,市町村社協です。このような社協は事業型社協と呼ばれます。


2000年に介護保険が導入された時点で,それらのサービスに多くの民間事業者が参入しました。


それでも市町村社協がそれらのサービスの主な担い手である地域も多いことと思います。


つまり事業収入が多いことは想像つきます。


調べてみると,会費,寄附金,共同募金配分金が占める割合は1割程度だそうです。


よって×。


想像通りの結果です。


2 共同募金の方法別割合で,最も大きな割合を占めているのは戸別募金である。


共同募金と言えば,10/1に街頭に立つ「街頭募金」のイメージが強いと思います。

そのためこの選択肢に×をつけた人は多かったのではないでしょうか。


しかし,街頭募金は,実際には全体のわずか数パーセントにすぎません。


ここに出題者のひっかけポイントがあります。


一般イメージが強いもの,この場合は「街頭募金」です。


しかし,この場合,「戸別募金」という意外なものが最も大きいと言っています。


その時点で,「おや?」と思いませんか。なぜなら予想と違うからです。この認識のずれをうまく使って,ひっかけが作られています。


戸別募金は毎年7割を占めます。


街頭募金は純粋(?)な自発的な行動による募金ですが,戸別募金は,町内会などか持ち回りで家庭を訪問するために,毎年いくら出すということが暗黙の了解であることが根底にある場合があります。


そのため,安定して全体の7割を集めることができています。知っている人なら断りにくいですからね。


このように最も多いのは戸別募金です。よって正解です。



3 都道府県及び市町村が設置する地域福祉基金の残高は,1991年度(平成3年度)からの地方交付税措置もあいまって,一貫して増大してきた。


地域福祉基金は,ゴールドプランに伴って高齢者福祉施策を充実させるために平成3年に創設したものです。


地方交付税を経費に充てており,基金は預金などの運用益で福祉活動の補助を行っています。基本的には,基金は取り崩さないようにしている自治体も多いようです。


しかし今は創設当時よりも低金利時代。運用益が多く出る時代ではありません。


一貫して増大させるのは難しいです。調べてみるとやっぱり減少傾向にあるそうです。


よって×。


想像力が最大限に発揮される選択肢でしょう。



4 特定非営利活動法人は,社会福祉法人と同等の税制上の優遇措置がある。


この問題は,この科目よりも「福祉サービスの組織と経営」で出題されるものかもしれません。


社会福祉法人は,固定資産税は原則非課税ですが,NPO法人は課税されます。ほかにも違いがあります。

よって同等ではないので,×。


「同等」という表現を考えると,何か違いそうだな? と思える感性を育てたいものです。


5 社会福祉法人が寄附金募集を行うことは,かつては自由に行われていたが,現在では都道府県知事の許可が必要となっている。


自由に行われていたものが,許可が必要になったということは,不正などの社会問題になり規制が入ったというようなことが考えられます。


そんなことがあっただろうか,という疑問が生じればOKです。


もちろん,許可制ではないです。


よって×。



自分の持っている知識を総動員して,想像力を働かせましょう。


そのためには,国試には気持ちの余裕をもって臨むことが大切です。


<今日の一言>


今やっている地道な勉強は,国試会場で少しでも落ち着くためのものである


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