2024年3月20日水曜日

「正しい努力」「間違った努力」見極め法

 国試に合格する勉強法とは?


ネットで検索すると,合格した人からのアドバイスの情報があふれています。


勉強法では・・・


過去問を徹底的にやりました。

参考書にひたすらマーカーを引きました。

参考書を口に出して読んだものを録音して,仕事の行き帰りに聴きました。


などなど・・・



勉強時間では・・・


3か月前から勉強を始めました。

試験1か月前からの勉強でも合格できます。

10月以降は毎日4時間勉強しました。


などなど・・・


それぞれが言っていることが違うだけに,情報を集めると集めるだけどうしたら良いかわからなくなってきます。



質問:なぜそれぞれ違うのだろうか?


答え:勉強法は人それぞれだから。


すべては真実です。ただし,「その人にとって」という前提があります。


人によってもともと持っている知識,文章を読むスキルは違います。

すべての人が同じなわけがありません。


それを考慮しておかないと痛い目に遭うことは,火を見るよりも明らかです。


合格するための勉強法は・・・


自分で見つけ出すことが大切です。

しかし・・・

やらなければならないことは決まっています。


参考書等に書いてあることを正しく理解すること


言葉で表現するとたったこれだけのことです。


しかし・・・


正しく理解する


この部分がとても難しいのです。


正しく理解する,の意味は,国試で正解できる理解ができたことを指します。


人によって理解の仕方は千差万別


どのようにすると理解(国試で正解)できるのか。


これは自分でつかみとること

この学習部屋も含めて,アドバイスはヒントにすぎません。



最初は,合格した人の勉強をまねても良いでしょう。それぞれが真実だからです。

だめだったと気づいたときに修正すればよいです。


正しい努力は,正しい方向に進みます。

間違った努力は,間違った方向にしか進みません。


しかし,どれが正しいのか,間違っているのかは,分かりません。

それをつかむための指標となるものの一つに模擬試験があります。


過去問が解けるようになるのも指標になるのでは?

と思われる方も多いでしょう。


過去問は,国家試験問題そのものなので,解けるようになることは実力をつけるためには必要なことです。


過去問を使っての勉強は,参考書だけを使って勉強するよりはずっと優れた方法です。


国試問題は同じようには出題してくれません。


ここが要注意です。トラップ(わな)です。


参考書類や過去問で覚えて来たものをアウトプットするは,国試です。


しかし,国試当日に間違った勉強法をしていたことに気が付くのでは遅すぎます。


国試の代わりになるものが模擬試験


勉強法が間違っていれば得点できません。

勉強法が正しければ得点できます。

得点出来なければ,勉強法を変えます。

そしてまた別の模試を受けて,得点出来なければまた勉強法を変えます。


このようにして国試まで修正していきます。

模擬試験は,さまざまな時期にあるので,複数は受けておきたいです。


4つも5つも受けさせる学校もあります。そういう学校は概して合格率が高いです。

そりゃそうですよね。点数が悪かったら辛いですから努力するようになるからです。


中には,最初の模試から50点アップさせて合格したという人もいると聞きます。


自分の実力を知らずに国試に臨んで合格できれば良いですが,大学生の場合は内定が取り消されてしまう事態にも追い込まれることもあるだけに,国試には万全を期して臨みたいものです。


なお,模試の場合は,問題の難易度によって,得点できるものとなかなか得点できないものがあります。


どこの模試でも国試よりも難易度が高いので,模試の点数プラス10~20点くらいが国試の時の実力になります。


さて,今日も問題を見てみましょう。



第26回・問題29 

福祉政策に関する社会福祉法の規定についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県は,社会福祉施設の設備の規模及び構造並びに福祉施設の運営について,要綱で基準を定めなければならない。

2 地方社会福祉審議会は,有識者から専門的意見を聞くための機関であり,合議により処理することが適当な事務をつかさどるものではない。

3 国及び地方公共団体は,社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して,福祉サービスの供給体制の確保及び適切な利用の推進に関する施策その他の必要な措置を講じなければならない。

4 社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるのは,地方公共団体ではなく国であるとされている。

5 市町村長は,社会福祉事業従事者の確保及び住民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本指針を定めなければならない。



「現代社会と福祉」の問題です,

この科目は,福祉政策が中心なので,法制度でもちょっと他の科目とは違う視点の出題がされます。


この問題は社会福祉法からの出題されたものです。

社会福祉の基本法である社会福祉法であっても,他の法律と同じような規則性はあります。


問題を解きながら,知識を知恵に変えていきましょう。


それでは,詳しく見て行きますね~


1 都道府県は,社会福祉施設の設備の規模及び構造並びに福祉施設の運営について,要綱で基準を定めなければならない。


結論から言うと,要綱ではなく条例です。よって×。


福祉現場では要綱はなじみ深いものだと思います。


条例:地方自治体が定める法 ⇒ 議会で決める。

要綱:地方自治体の内部規定 ⇒ 議会で決めない。


順序で言えば,条例が上位にあって,要綱が下位にあります。

施設運営については,おおまかに条例で定めて,運営規定と言える要綱を作成します。


2 地方社会福祉審議会は,有識者から専門的意見を聞くための機関であり,合議により処理することが適当な事務をつかさどるものではない。


地方社会福祉審議会とは,都道府県,指定都市に必置の合議制の機関です。よって×。


知識がなくても見当はつけることができた選択肢です。


「合議により処理することが適当な事務をつかさどるものではない」というわざわざ省く条件を明示している場合は,逆に「合議により処理することが適当な事務をつかさどるものである」ことが正しいことが多い。


3 国及び地方公共団体は,社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して,福祉サービスの供給体制の確保及び適切な利用の推進に関する施策その他の必要な措置を講じなければならない。


結論から言うと,これが正解です。


講じなければならないのか(義務),講ずるよう努めるものとする(努力義務)なのかをしっかり覚えておく必要があります。


4 社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるのは,地方公共団体ではなく国であるとされている。


結論から言うと☓です。


2の選択肢とスタイルは違いますが,同じように「地方公共団体ではなく」とわざわざ省く条件を明示しています。この場合は,2と同じように逆の表現「地方公共団体とともに」となりそうだと予測できます。


この作問方法は,不適切問題を作らないための王道です。


なお,社会福祉士法では,国と地方公共団体とにそれぞれ定めがあります。


第九十二条 国は、社会福祉事業等従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。


2 地方公共団体は、社会福祉事業等従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


5 市町村長は,社会福祉事業従事者の確保及び住民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本指針を定めなければならない。


基本方針は,中央官庁が定めるものです。この場合は厚生労働省です。よって×。


「基本指針」など基本がつくものは,基本的に中央官庁の責務です。地方公共団体ではありません。


例外として・・・


基本が入っていますが「基本構想」(バリアフリー新法)は,地方公共団体(この場合は市町村)の責務です。


どんなに勉強しても知らない問題は出題される

知っている問題でも表現を変えて出題されます。


これに対応するのは,知識を知恵に変えることができた人だけです。

国試は試験委員との知恵比べと言えるでしょう。


知識を知恵に変えられるようにチームfukufuku21は情報提供していきたいと思います。


知恵になったかどうかを確かめる機会が模擬試験です。


知らない問題に対応できるのは,知識に裏付けられた知恵です。



<今日のまとめ>


国試に合格できる勉強法とは・・・


知識を知恵に変えることができる勉強だと言えるでしょう。


複数回受験されている方は,本当に大変だと思います。

不合格になっても受験を続けると必ず合格できます。


去年と勉強法を変えてみることで道は開けます。

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