2024年3月13日水曜日

忘れることを肯定することからすべては始まる


早い時期から勉強すると忘れてしまう。


だからギリギリになってから勉強する



こんなことを思っていませんか?



出題範囲が狭い試験ならそれでも何とかなります。



しかし,社会福祉士の国家試験は19科目もあります。


1科目1週間ずつ勉強したとしても,4か月以上かかります。



3か月勉強で合格した



というのは,本当に一部の声です。



社会福祉士の国試はマークシート。


必ず問題文の中に答えがあります。


忘れても忘れても・・・・・・

忘れても忘れても・・・・・・


忘れても忘れても・・・・・・


忘れても忘れても・・・・・・



何度も繰り返していくと・・・


脳のどこかに記憶される!!



問題文を見た時に,間違っている問題には違和感があれば・・・


そうなれば,消去法で国試の答えは導き出せます。



さて,それで今日の問題を見てみましょう。


第26回・問題22 

社会的排除と社会的包摂に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会的排除は,社会関係や活動に参加できない状態を意味するもので,排除に至るプロセスを問うものではない。

2 貧困は,生活資源の欠乏から生ずる生活困難を意味するものであって,社会関係上における人々の不利といった社会的排除とは無関係である。

3 社会環境のあり方が,人々のケイパビリティを制約したり,社会的排除による社会参加の機会のはく奪を生むことがある。

4 発達した福祉国家においては,人々は,生活保障のための諸制度から排除されることはない。

5 社会的包摂政策は,労働への参加など,社会参加の機会を促進するためのもので,所得の保障は含まない。



今日から「社会福祉の原理と政策」に入りました。



この科目は,10問もあるのに,なかなか得点できない科目ですよね。




しかし,この学習部屋に訪れている方の中には,問題文を読まなくても瞬時に答えがわかったという方もいらっしゃるかもしれません。


なぜなら・・・


それについては,あとでお話ししますね。


詳しく見て行きましょう。



1 社会的排除は,社会関係や活動に参加できない状態を意味するもので,排除に至るプロセスを問うものではない。


社会的排除は,よく出題されていますね。


社会的排除は,排除に至る過程を重視します。


よって×。


なぜ,社会的排除では,排除に至る過程が重視されるのか?


社会的排除は,ある日突然起きるものではなく,社会とのつながり,サービスへのアクセスなどが徐々に欠落して社会的排除の状態に至るためです。



2 貧困は,生活資源の欠乏から生ずる生活困難を意味するものであって,社会関係上における人々の不利といった社会的排除とは無関係である。



タウンゼントは,相対的剥奪という概念を提唱しています。


今日で言えば,PCなどを持てないために,一般的に得られる情報が得られない,というのが相対的剥奪に相当します。


貧困と社会的排除は,極めて近い関係にあることがわかることでしょう。


よって×。


3 社会環境のあり方が,人々のケイパビリティを制約したり,社会的排除による社会参加の機会のはく奪を生むことがある。


アマルティア・センのケイパビリティ・アプローチは,物や財があるかないかが貧困とする伝統的な貧困観(絶対的貧困・相対的貧困)ではなく,何かを成し遂げようとするとき,その方法論を持てないことが貧困とする新しい貧困観です。


社会環境によって,その方法論が持てないこともあるでしょう。


例えば,山奥に住んでいる場合


昔は車を運転できたが今は出来ない。


バスはない。


もちろんタクシーも来ない。


といった場合・・・


山里まで降りて行って,買い物をする,誰かに会う,ということができなくなります。


このように


ケイパビリティも社会参加の機会もはく奪されます。


これが正解でした。


重要ですね。


4 発達した福祉国家においては,人々は,生活保障のための諸制度から排除されることはない。



どの制度にも該当しないことはよくあることでしょう。


よって×。



5 社会的包摂政策は,労働への参加など,社会参加の機会を促進するためのもので,所得の保障は含まない。



社会的包摂とは,ソーシャルインクルージョンのことですね。


ソーシャルインクルージョンとは,誰もが排除されない社会を実現するものです。


貧困は社会的排除を生み出します。



所得保障は社会的排除を生み出さない ⇒ 社会的包摂政策そのもの


よって×。



この問題の難易度はそんなに高くはないと思います。



しかししかし・・・


国試では何が起きるか本当に分からないものです。


魔がさす


よく起きます。



読み間違え

しょっちゅうあります。



そこで確実に正解するために,「なぜすぐ正解できるのか」の問いかけの答えです。


言い切り表現に正解少なし


を思い出しましょう。


1 排除に至るプロセスを問うものではない。

2 社会的排除とは無関係である。

4 排除されることはない。

5 所得の保障は含まない。



思いっ切り,言い切っちゃっています。


この潔さに脱帽です。


世の中には,言い切れることは多くはありません。


それに比べて


3 はく奪を生むことがある。



なんと奥ゆかしい表現。

他の言い切り表現から比べるとずいぶんほほえましく感じませんか?


日本人的謙虚さ 

→ 大切にしたいです。



言い切り表現に正解少なし

あいまい表現に正解多し


確率論アプローチでも,この教訓にたどりつくことはできるでしょう。


言い切り分は,例外の具象が1つでもあれば,論破できる。

あいまい表現は,その具象が1つでも起きれば,成立する。



今日の教訓(改めて)


言い切り表現に正解少なし

あいまい表現に正解多し


one more time


言い切り表現に正解少なし

あいまい表現に正解多し

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