2024年3月19日火曜日

外国人の名前や歴史を覚えるのが苦手な人へ

 外国人の名前,外国語を覚えるのは,本当にいやなものですね。

歴史も好きな人にとっては,面白いかもしれませんが,「こんなことを学んでもどうなる?」と思ったら,本当につまらないものになります。


チームfukufuku21も,外国人の名前,業績,そして歴史が得意な人はいません。


しかししかし・・・


そんなのは,国試のうちのほんの一部にすぎません。


社会福祉士の国試で最も多く出題されるものは,外国人の名前や歴史ではなく,法制度です。


社会福祉士とケアマネジャーを比較して考えてみましょう。


社会福祉士に最も必要とされているものは・・・


社会保障制度全体をつかんでおくことです。


社会福祉士の資格はなくても仕事はできます。法の使い手ではないからです。


ケアマネジャーは,介護保険法に関する法の使い手です。資格がなければ仕事ができません。


ここに勉強のヒントがあります。


社会福祉士は,法の使い手ではない。


それに対して・・・


ケアマネジャーは,法の使い手である。


何か気が付きましたか?


社会福祉士国試には,細かい法制度は出題されない


ケアマネジャーは,法制度を知らないと仕事ができません。

だから細部に至る問題が出題されます。


先日,最新の法制度は出題されにくい,と書きました。


社会保障制度全体から見ると,小さな法改正は些末なものにすぎません。


最新の法制度だって,本当は試験委員も出題したいはずです。


しかし,全体を見た時,それよりも優先度の高いものがあるから,最新の法制度の優先度が低くなってしまうのです。


「高齢者に対する支援」を考えると,老人福祉法,高齢者虐待防止法,バリアフリー新法,高齢者住まい法などメインである介護保険法以外からも出題されます。たった10問しかありませんから,そのうちどれを出題しようかと考えながら選び出すのでしょう。


そうすると,最新の法制度を出題する余地がだんだん少なくなっていきます。


心理学や社会学,そして歴史を学ぶのは,社会福祉士が専門職であるために必要なことです。

難しいかもしれませんが,そんなに出題されるものは多くはないので,対応は可能です。


しかし,社会福祉士の出題範囲は広いのが特徴です。


メインは,法制度です。


外国人の名前や歴史をどうしても覚えられなければ,思い切って捨ててしまって,その時間を法制度の勉強にあてる方法もあります。


ただし,それはもっと先の話。


今はまだ時間がたっぷりあるので,苦手だとしても捨てるのはもったいないですよ~


しかし,社会福祉士の国家試験は出題範囲が広いことともう一つ問題数が多いというのも特徴です。


苦手なものに時間をかけてやっと1点をゲットするのも満足感は高いかもしれませんが,効率が悪すぎ。


法制度は,合理的にできているので,その仕組みが理解できれば,得点力はぐんぐん伸びて行きます。極端なことを言えば,その法制度を知らなくても,推測で正解できることさえできます。


苦手なものがあっても,得意な部分を作れば逆転できるのが社会福祉士の国試です。


社会福祉士国試の必勝法は・・・


法制度をどれだけしっかり押さえるか,ということにかかっていると言っても良いかもしれません。



さて,前置きが長くなりましたが,今日の問題を見てみましょう。



第26回・問題28

福祉サービスの提供の仕組みに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国及び地方公共団体は,福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように,必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 社会福祉事業の経営者は,福祉サービスの利用契約が成立したときには,その利用者に遅滞なく口頭で契約事項を説明しなければならない。

3 準市場(疑似市場)は,市場における自由な取引を通じて福祉サービスを提供しようとする考え方である。

4 介護保険制度は,事業者との契約を通じた介護サービス利用を原則としていることから,市町村には指定サービス事業者を指定したり,その取消しを行ったりする権限はない。

5 認可保育所における保育サービスの利用は,利用者と保育所との直接契約による。


多くの人が苦手かもしれない「現代社会と福祉」の問題です。

この科目だって,理論や概念,歴史だけではなく,このような法制度に関する問題もありますよ~



歴史が苦手という人は,この手の問題は絶対に死守したいです。


社会福祉士に最も必要とされているものは,社会保障制度全体をつかんでおくことだからです。


さて,それでは細かく見ていきますね~


1 国及び地方公共団体は,福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように,必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


社会福祉法からの出題です。


チームfukufuku21は,国試勉強のために,法律を読むのは勧めません。なぜなら法の条文を理解するのは難しいからです。しかし,社会福祉法だけは別です。そのために法の表現に慣れることが必要です。


「・・・をおく」は,必置なのでしょうか。それとも任意設置なのでしょうか。


答えは


必置


任意の場合は,「おくことができる」という表現になります。


しかし,こんなことにストレスを感じたくないですよね。


社会福祉法人はほかの社会福祉法人と合併できる。


参考書には,このまま書いていないです。


社会福祉法人は社会福祉法人以外とは合併できない。


と書かれています。


基本的には,法の条文を読むことは,国試対策としておすすめしませんが,この社会福祉法だけは別です。一度だけでも良いので,全体を読んでみましょう。


改めて読んでみると,いろいろな発見があると思いますよ~


社会福祉法は,社会福祉における最も中心となる法律です。その分,出題もされやすいということになります。


問題に戻ります。


国及び地方公共団体は,福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように,必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


これは正解です。


このような法律の場合,


講じなければならない・・・・・・・・義務

講ずるよう努めなければならない・・・努力義務


をしっかり覚えることを意識しましょう。

これだけで得点力はアップするはずです。


2 社会福祉事業の経営者は,福祉サービスの利用契約が成立したときには,その利用者に遅滞なく口頭で契約事項を説明しなければならない。


口頭ではなく,文書を交付しなければならないですよね。


よって×。



文書,文書,と単純に覚えているとひっかけられることがあるので,気を付けましょう。


文書で交付しなければなりませんが,受付する時は,必ずしも文書でなくても口頭でできる法律もあります。


 生活保護法などがそうですよね。


 3 準市場(疑似市場)は,市場における自由な取引を通じて福祉サービスを提供しようとする考え方である。


準市場(疑似市場)をもし知らなくても,「市場における自由な取引を通じて」であれば,わざわざ「準」や「擬似」をつけなくても,単純に「市場」で良いのではないかと考えられるのではないでしょうか。


準市場は,日本で言えば,介護保険サービスがこれに当たります。契約は自由にできますが,介護報酬は公定価格です。サービスの質が良くても悪くても,価格は一緒です。「うちのサービスは,とても良いので他より多くいただきます」ということは許されませんね。これが準市場(疑似市場)です。


公定価格であっても,事業者間の競争は行われます。つまり市場原理の一部を取り入れているので準市場(疑似市場)と言われるわけです。


自由な取引ではないので,間違いですね。


4 介護保険制度は,事業者との契約を通じた介護サービス利用を原則としていることから,市町村には指定サービス事業者を指定したり,その取消しを行ったりする権限はない。


社会福祉士の場合は,専門科目に「高齢者」があるので,地域密着型サービスは,市町村が指定を行うことを勉強していると思いますが,精神保健福祉士にはないのでこれに×をつけるのは難しかったのではないでしょうか。


言い切り表現に正解少なし,は制度系の問題にも応用できることがあります。


分からない時には,いろいろ頭を柔軟にして問題を解いていただきたいと思います。


国試で避けたいのは,緊張で柔軟な思考ができなくなることです。その状態になると,知識を得点に変えることができなくなりますので注意が必要です。


話は戻って,この選択肢は×ですね。



5 認可保育所における保育サービスの利用は,利用者と保育所との直接契約による。



福祉サービス利用には,いくつかの方式があります。


覚えていない方は,今ここで覚えましょう。


措置制度・・・地方公共団体の行政処分としてサービス利用する。


利用契約制度・・・利用者とサービス事業者が直接契約でサービス利用する。


保育所方式・・・利用者は行政と契約して,行政はサービス事業者に委託する形でサービス利用する。


認可保育所は,この保育所方式を取ります。保育所でも公立の保育所は近年の改正によって,保育所と直接契約によって利用します。

保育所方式は知らなくても,利用者と保育所との直接契約ではないことはわかりそうなので,そんなに難しくはないかもしれません。


答えは×です。


この問題の答えは,1となりますが,学校の先生が思うほどこの問題で正解するのは簡単ではないです。


なぜなら,しっかり覚えていないと,義務なのか,努力事務なのかが迷います。しかも1や5には正解は少ない,という中途半端な知識がじゃまして,1には〇をつけにくいからです。


それでも冷静に各選択肢を見ていけば消去法で,1が残ります。


しかし,冷静にはなれないのが国試の怖いところです。


しっかり得点を取るためには,法制度は,正確に覚えておきたいです。


時間に余裕があれば・・・


特に「領域別ではない科目」は,問題文を正しい文に直して覚えていくと良いと思います。



過去問を使った勉強法のメリット・デメリット


メリットは,過去問は問題を解くためのヒントの宝庫なので得点力をつけることができます。


デメリットは,間違った文章が常に目にすることになりますので,試験の時に,「あれっ,これってどっちだっただろう?」と分からなくなる可能性があります。

正しい文を読むことは,脳の栄養になります。


たくさん脳に栄養をあげてください。


そして,法制度をしっかり覚えることは,点数を上げていくための最も近道です。

どんなものが覚え方があいまいになりやすいのは,これから問題を見ながら一緒に考えて行きましょう!!

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