2024年3月2日土曜日

知識が足りなかった?

再受験を目指す人から「知識が足りなかった」という反省の声を聞くことがよくあります。

 

 

合格するために必要な一定量の知識は必要なのは言うまでもありません。

 

次に進むためには反省は必要です。

 

それに「どのような」が加わると良いと思います。

 

私たちチームfukufuku21は,それらを一緒に考えていきたいと思います。

 

それでは,今日の問題です。

 

26回・問題14

心理療法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 動作療法(臨床動作法)を高齢者に適用するとき,筋力をつけることが重要な課題となるので,リラクセーションを促進する必要はない。

2 内観療法は,身近な人を対象として「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」について内省し,不安や苦悩を「あるがまま」に受入れていく。

3 行動療法では,恐怖症のような不適応行動を誤って学習された行動と考え,それを修正するための再学習を行うことが重要である。

4 精神分析療法では,クライエントの自己洞察を深めるため,過去の外傷体験に関する暴露療法がよく用いられる。

5 心理劇では,治療者の受容的・共感的態度に支えられ,防衛機制の理解のために夢の分析を行う。

 

心理療法が出題されない年はほとんどないです。

 

それだからこそ,なかなか簡単に得点できないような問題になっていそうだと想像できます。

 

手ごわそうです。

 

 

1 動作療法(臨床動作法)を高齢者に適用するとき,筋力をつけることが重要な課題となるので,リラクセーションを促進する必要はない。

 

 

動作療法は,聞き慣れないものかもしれません。だからこそかなりしっかり覚えないと解きにくいものとなります。

 

言い切り表現には正解少なし。

 

 

間違いかも,というあたりをつけられます。

 

 

ありがたいですね~ まともに動作療法を出題されると解くのがとても難しくなります。

話を戻します。

 

動作療法は,体の動きとこころはつながっていると考え,自分の意思で体を動かすことを重視しています。

 

自分の意思で体を動かすためには,体の弛緩(リラクセーション)が必要です。よって×

 

 

「必要はない」のヒントに気づかず,「動作法はどのように行うのだろうか」と悩むと迷い道に入り込むのでくれぐれも注意を・・・

 

 

ヒントに気づかなければ,問題自体は決してやさしいものではないと思います。

 

2 内観療法は,身近な人を対象として「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」について内省し,不安や苦悩を「あるがまま」に受入れていく。

 

 

動作療法,内観療法,森田療法は,日本で開発されたものです。ソーシャルワークに関連するものの中で,日本で開発されたものは少ないだけに,主だったものが3つもあるのは珍しいように思います。

 

そのうちの内観療法は,自分が生まれてから今までの自分の歴史の中で「してもらったこと」「して返したこと」,そして「迷惑をかけたこと」を振り返るものです。

 

問題文では途中までは合っています。

 

ただし,最後の「あるがままに受け入れる」という部分が違います。

あるがままに受け入れるのは森田療法であって,内観療法は,周りの人の愛情に気づき,また隠されていた自分にも気づき,生きるヒントを得るという効果を目指しています。

 

しかし,そこまでは理解しておくのは難しいので,この時点ではとりあえずをつけておきます。

 

 

3 行動療法では,恐怖症のような不適応行動を誤って学習された行動と考え,それを修正するための再学習を行うことが重要である。

 

 

行動療法と言えば学習理論。

 

再学習することで修正するものです。

精神分析療法のように自己の内面に向き合う必要がないのが特徴と言えます。

手法には,暴露療法,系統的脱感作法などがあります。

 

恐怖症はなじみがないですが,パニック障害などの不安障害の一つらしいです。

閉所恐怖症などがあります。

恐怖を感じる状況に少しずつ慣れるという再学習をすることで改善を図ります。

 

よって〇

 

4 精神分析療法では,クライエントの自己洞察を深めるため,過去の外傷体験に関する暴露療法がよく用いられる。

 

精神分析療法は,行動療法とともに出題頻度が高いものなので,しっかり覚えておきたいです。

 

 

精神分析療法は,抑圧して無意識の領域に追いやった過去の体験がさまざまな神経症状を引き起こすと考えます。

 

自由連想法を用いて,無意識の領域を開き,治療します。

 

暴露療法は,エクスポージャーとも呼ばれます。

苦手なものに接して慣れていく方法です。

 

よって×

 

系統的脱感作法と暴露療法との違い

 

 

系統的脱感作法は・・・刺激の少ないものからだんだん刺激の強いものに慣れていく。

 

例:犬が嫌い

 

犬のイラストを見せる

 

犬のぬいぐるみを抱かせる

 

犬の写真を見せる

 

本物の犬を見る。

 

本物の犬に触れる。

 

 

暴露療法は・・・苦手とするものに接する。

 

本物の犬に触れる

 

本物の犬に触れる

 

本物の犬に触れる

 

本物の犬に触れる

 

 

5 心理劇では,治療者の受容的・共感的態度に支えられ,防衛機制の理解のために夢の分析を行う。

 

 

心理劇は,シナリオのない即興的なドラマを演じることで,自己を表現し,抑圧していたものを開放するといった心理療法です。

 

 

治療者の受容的・共感的態度に支えられる

 

  

 

来談者中心療法

 

防衛機制の理解のために夢の分析を行う

 

  

 

精神分析療法

 

いろいろなものをミックスした問題でした。

 

よって×

  

この時点で,2の内観療法をから×に降格して,3の行動療法を正解に確定させます。

 

 解説を読むとこの問題の難易度は低そうに感じるかもしれません。

 しかし,解説を読む前に,この問題を解いたときは,とんでもなく難しく感じたことを覚えておいてくださいね。

 

「難しいから,模試を受けない」という人もいるでしょう。

 

難しい問題に何度もチャレンジしていくことで,問題を解くことに慣れしょう。

 暴露療法の応用です。

 

 

出題頻度が高いものは,ひねりをどんどん加えて出題するのがこの国試の特徴です。

 

問題が解けないのは,知識不足のこともあるでしょう。

 

しかし・・・・・・

 

 

忘れてはいけないのは,基礎的な知識を応用的な力にすることです。

 

 問題をたくさん解きながら柔らかい思考をつくっていきましょう。

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