第36回国家試験を見る限り,今後は問題文にそんなに難解な言い回しは使われないかもしれませんが,用心しておくことと良いと思います。
今日は前説なしに,国試問題を見ていきましょう。
第26回・問題18
近代官僚制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 官僚制組識は必ずしも規模が大きいとは限らないので,明文化された規則がない。
2 官僚制組織においては,権限のヒエラルヒーが明確であるため,上司と部下とのパーソナルな関係が重視される。
3 官僚制は形式合理性を重視するがゆえに,実質合理性を失って,逆機能的になることがある。
4 官僚制は組織目的を効率的に達成するために,職務を専門化することなく,口頭での連絡を重視する。
5 官僚制は職務が平等に配分され,権限の上下関係もない水平的な組織である。
官僚制は超頻出です。
官僚制の特徴
・規則により権限が明確
・上下関係が明確
・家計と経営の分離
・文書主義
・職務専門化
官僚制は組織を機能させるために重要な管理システムですが,規則を守ることが重視されすぎると組織が機能しなくなります。
これをマートンは 官僚制の逆機能 と言いました。
これをもとにそれぞれを見ていきましょう。
1 官僚制組識は必ずしも規模が大きいとは限らないので,明文化された規則がない。
明文化された規則があるのが官僚制の特徴です。よって×。
2 官僚制組織においては,権限のヒエラルヒーが明確であるため,上司と部下とのパーソナルな関係が重視される。
ヒエラルヒー,という言葉が出てきました。
階層の意味です。
パーソナルな関係とは,個人的な関係ですね。
公式組織ですから,個人的な関係が重視されるのというのは変な感じですね。パーソナルではなく,インパーソナルです。よって×
3 官僚制は形式合理性を重視するがゆえに,実質合理性を失って,逆機能的になることがある。
形式合理性,実質合理性,難しいですね。
わからないものは飛ばして読みます。
官僚制は,逆機能的になることがある。
その通りです。正解です。
しかし,この時点では,確定できないので,とりあえず▲をつけます。
4 官僚制は組織目的を効率的に達成するために,職務を専門化することなく,口頭での連絡を重視する。
官僚制は,職務専門化,文書主義が特徴です。よって×ですね。
5 官僚制は職務が平等に配分され,権限の上下関係もない水平的な組織である。
官僚制は,上下関係が明確なのが特徴です。よって×ですね。
最終的に,3を▲から〇に昇格されて,正解とします。
この問題の突破口は,
難しい用語に惑わされないこと
ここでは,
形式合理性,実質合理性です。
ここに引っかかっては,3を正解にすることはできません。
すべての用語の意味が必ずしも分からなくても,問題は解けることを覚えておきましょう。とても重要です。