保護司の根拠は,保護司法です。
保護司法は,わずか18条で構成される法律です。
国家試験までには,一度は目を通しておきたい法律です。
保護司については,更生保護法にも規定があります。
更生保護法に規定される保護司の業務
〈業務〉 保護観察官で十分でないところを補い,地方更生保護委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて,保護司法の定めるところに従い,それぞれ地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌事務に従事する。 |
それでは,今日の問題です。
第25回・問題148
保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護司に委嘱する条件として社会的信望,時間的余裕,活動力などが挙げられているが,生活の安定については,法律上特に定めは置かれていない。
2 保護司は,地域住民という立場から更生保護に貢献することが求められるので,市町村長の推薦によって都道府県知事がこれを委嘱する。
3 保護観察官で十分でないところを補い,保護観察所長等の指揮監督を受けて,保護観察所等の所掌事務に従事するものとされている。
4 保護観察所から保護観察事件を全面的に付託されて保護観察を実施しており,自らの権限で保護観察の終了や延長等法の執行場面での判断を行っている。
5 保護司は民間人であるので,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する情報の取扱いについては,公務員としての法的責任は課されない。
かなり前の問題ですが,今,出題されても違和感がないのではないでしょうか。
ただし,問題づくりが粗い選択肢1と選択肢5のようなものは,もう出題されないと思います。
今は試験委員の問題づくりをサポートする体制となっているからです。
それでは,解説です。
1 保護司に委嘱する条件として社会的信望,時間的余裕,活動力などが挙げられているが,生活の安定については,法律上特に定めは置かれていない。
保護司に委嘱する条件
・人格及び行動について,社会的信望を有すること。
・職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
・生活が安定していること。
・健康で活動力を有すること。
生活の安定も含まれます。
2 保護司は,地域住民という立場から更生保護に貢献することが求められるので,市町村長の推薦によって都道府県知事がこれを委嘱する。
保護司は,保護観察所の長が保護司選考会の意見を聴いたうえで法務大臣に推薦し,法務大臣が委嘱します。
更生保護には地方公共団体の役割はほとんどありません。
3 保護観察官で十分でないところを補い,保護観察所長等の指揮監督を受けて,保護観察所等の所掌事務に従事するものとされている。
これが正解です。
4 保護観察所から保護観察事件を全面的に付託されて保護観察を実施しており,自らの権限で保護観察の終了や延長等法の執行場面での判断を行っている。
保護観察の終了,延長等の判断を行っているのは,地方更生保護委員会です。
5 保護司は民間人であるので,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する情報の取扱いについては,公務員としての法的責任は課されない。
保護司は民間人ですが,身分は非常勤の国家公務員です。
そのため,国家公務員法の一部の規定が適用されます。