2024年10月29日火曜日

様々なアプローチ

 

今回は,様々なアプローチを学びます。

 

アプローチ名

援助方法

影響を与えた主な理論

提唱者

 

心理社会的アプローチ

「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていく。

精神分析理論

ホリス

 

機能的アプローチ

ワーカーの所属する機関の機能を活用して,クライエントの意志で問題解決できるように援助する。

意志心理学

タフト

ロビンソン

スモーリー

 

問題解決アプローチ

クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する

役割理論

パールマン

 

課題中心アプローチ

クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

精神分析理論,役割理論,学習理論

リード

エプスタイン

危機介入アプローチ

危機状態に陥っている人に対して早期にかかわり,危機に対して対処能力を高める。

発達理論,危機理論

ラポポート

 

行動変容アプローチ

学習理論を活用して,クライエントの問題となる行動を消去や強化することにより,問題行動全体の変容を図る。

学習理論

トーマス

 

エンパワメントアプローチ

クライエントが抑圧された状況を認識して,潜在能力に気づいて,対処能力を高められるようにかかわる。

ソーシャルアクション

ソロモン

 

ナラティブアプローチ

クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。

物語理論

ホワイト

エプストン

解決志向アプローチ

クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

短期療法(ブリーフセラピー)

シェザー

バーグ

フェミニストアプローチ

女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。

女性主義(フェミニズム)

不明

 

実存主義アプローチ

利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

実存主義

クリル

 

エコロジカルアプローチ

「人と環境」の交互作用に着目した援助法

システム理論

ジャーメイン

ギッターマン

 

 

 

これを覚えたところで今日の問題です。

 

33回・問題101

次のうち,ソーシャルワークにおける機能的アプローチに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため,既存の制度や政策を批判し,これらの変革を目指す。

2 クライエントとのコミュニケーションを通じ,クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。

3 クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し,援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。

4 クライエントの望ましい行動を増加させ,好ましくない行動を減少させることを目指す。

5 クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て,問題が解決した状態を実現することにより,クライエントの社会的機能の向上を目指す。

 

すべての選択肢はあるアプローチのことを述べている問題です。

 

この中から,機能的アプローチを選びます。

 

知識がないと5分の1以上の確率で正解することは困難です。

 

それでは,解説です。

 

1 クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため,既存の制度や政策を批判し,これらの変革を目指す。

 

これは,エンパワメントアプローチを述べたものです。

 

抑圧という用語が含まれていると,エンパワメントアプローチ,あるいは,フェミニストアプローチです。

 

2 クライエントとのコミュニケーションを通じ,クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。

 

これは,心理社会的アプローチを述べたものです。

 

コミュニケーションという用語が含まれていると心理社会的アプローチだと判断できます。

 

3 クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し,援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。

 

これが正解です。

 

機関の「機能」という用語が含まれていると機能的アプローチだと判断できます。

 

4 クライエントの望ましい行動を増加させ,好ましくない行動を減少させることを目指す。

 

これは行動変容アプローチを述べたものです。

 

行動を変えるといったニュアンスが含まれていると行動変容アプローチだと判断できます。

 

5 クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て,問題が解決した状態を実現することにより,クライエントの社会的機能の向上を目指す。

 

これは,解決志向アプローチを述べたものです。

 

解決のイメージといったニュアンスが含まれていると解決志向アプローチだと判断できます。

 

ただし,解決志向アプローチは,さまざまなスタイルで出題されます。解決志向アプローチで用いられる質問も押さえておきたいです。

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