今回は,仮釈放について学びます。
刑事施設の長は、刑の執行のため収容している者について、法定の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方更生保護委員会に対して、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければなりません。
地方更生保護委員会は,この申出がない場合でも,必要があると認めるときは,仮釈放の許否に関する審理を開始することができます。
その際,地方更生保護委員会は,被害者等から意見等を述べたい旨の申出があった場合,意見等を聴取します。ただし,審理対象者の更生を妨げるときは,聴取を行わないこともあります。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題150
保護観察所が連携する関係機関・施設に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仮釈放の決定に関して検察庁。
2 一般遵守事項の決定に関して裁判所。
3 協力雇用主の確保に関して矯正施設。
4 就労支援対策に関して福祉事務所。
5 住居の確保が困難な者に関して自立準備ホーム。
今日のテーマは,選択肢1に出題されています。
それでは,解説です。
1 仮釈放の決定に関して検察庁。
仮釈放の許否を決しているのは,地方更生保護委員会です。
2 一般遵守事項の決定に関して裁判所。
一般遵守事項は,すべての者が守らなければならないものです。
個々の事案ごとに定めるのは,特別遵守事項です。
特別遵守事項を決定するのは,地方更生保護委員会です。
3 協力雇用主の確保に関して矯正施設。
協力雇用主とは,犯罪をした者等の自立及び社会復帰に協力することを目的に犯罪をした者等を雇用,又は雇用しようとする民間の事業主です。
協力雇用主の確保は,保護観察所が行います。
4 就労支援対策に関して福祉事務所。
就労支援対策は,公共職業安定所(ハローワーク)と連携します。
例えば,協力雇用主には,「刑務所出所者等就労奨励金制度」によって,ハローワークから奨励金等が給付されます。
5 住居の確保が困難な者に関して自立準備ホーム。
これが正解です。
自立準備ホームは,住居の確保が困難な者に対して一時的な宿泊場所等を提供するものです。
更生保護施設が不足しているためにできた制度です。
あらかじめ保護観察所に登録したNPO法人や社会福祉法人などが提供しています。