課題中心アプローチ
クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。 |
具体的には,クライエントとともに課題を明確化して,期間を決めて目標を設定します。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題103
事例を読んで,課題中心アプローチに基づくL指導員(社会福祉士)の応答として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
W自立援助ホームのL指導員は,Mさん(18歳,男性)から将来についての相談を受けた。Mさんは就職をして一人暮らしをしたいと思っているが,求人募集に何度応募しても不採用が続いている。自信を失ったMさんは,「また駄目かもしれないと思うと,面接が怖いです」とうつむいた。
1 「就職活動をする上で,今,何が一番問題だとMさんは思われますか」と尋ねる。
2 「面接が奇跡的にうまくいったとしたら,どのように感じますか」と尋ねる。
3 「面接が怖いのであれば,採用試験に面接がない職場を探しましょう」と提案する。
4 「Mさんが次の面接の日までに取り組む具体的な目標を一緒に考えましょう」と提案する。
5 「大丈夫,Mさんなら自信を持って何でもできますよ」と励ます。
この問題はつくり方が下手なので,課題中心アプローチを知らずとも消去できてしまう選択肢があります。
今後は,そのような問題は出題されないと思います。しっかりした知識をもつ人だけが正解できるのが,国家試験にふさわしいと思います。
〈問題づくりが下手な選択肢〉
3 「面接が怖いのであれば,採用試験に面接がない職場を探しましょう」と提案する。
5 「大丈夫,Mさんなら自信を持って何でもできますよ」と励ます。
それでは,このほかの解説です。
1 「就職活動をする上で,今,何が一番問題だとMさんは思われますか」と尋ねる。
これが1つめの正解です。
「就職活動をする上で,今,何が一番問題だとMさんは思われますか」と課題の明確化をしています。
2 「面接が奇跡的にうまくいったとしたら,どのように感じますか」と尋ねる。
この質問は,解決志向アプローチに用いられるミラクルクエスチョンです。
解決志向アプローチでは,こういった特徴的な質問を用いるのが特徴です。
このほかには,スケーリングクエスチョン(今の状況を数値化する質問),サバイバルクエスチョン(困難な状況でもなんとかやってこれたことに気づいてもらうための質問),例外探し(あまくいったことに気づいてもらう)などがあります。
4 「Mさんが次の面接の日までに取り組む具体的な目標を一緒に考えましょう」と提案する。
これが2つめの正解です。
Mさんが問題だと思うことを明確化した後は,具体的な目標を設定します。
〈今後の出題について〉
当然ですが,正解以外は誤りの文章です。
選択肢2が適切な誤りの文章の見本です。
試験委員は比較的簡単に問題をつくることができて,しかも知識があいまいだと解くのが難しくなります。
今後は,こういった出題が多くなると思います。
しっかりした知識がある人にとっては,何の不安もなく,試験に臨むことができるでしょう。