非行少年とは,少年法に規定される「審判に付すべき少年」のことです。
非行少年(審判に付すべき少年)
犯罪少年 |
罪を犯した少年 |
触法少年 |
14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年 |
虞犯少年 |
その性格又は環境に照して,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年 |
犯罪少年は,全件,家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は,犯罪少年を
・不処分とする
・保護観察処分とする
・検察官へ逆送致とする
の判断を行います。
家庭裁判所が検察官への逆送致を行うのは,非行少年のうち,犯罪少年のみです。
逆送致によって,検察官が起訴した場合,刑事裁判を受けることになります。
有罪となると,少年刑務所で刑の執行を受けますが,16歳未満の場合は,第4種少年院に入院します。
少年刑務所は,16歳以上の少年を対象とするからです。
触法少年と虞犯少年は,逆送致されることはありません。
なお,家庭裁判所による保護処分は,3種類あります。
保護処分
・保護観察処分 ・児童自立支援施設及び児童養護施設送致 ・少年院送致 |
少年院には,第1種から第5種までありますが,先述のように,刑の執行を受けるための少年院は,第4種少年院です。
第4種少年院以外の少年院は,保護処分によって,少年院送致となった少年を収容する少年院です。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題150
非行少年の取扱いに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。
2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。
3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。
4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。
5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。
確実な知識がないと正解できない問題です。
しかし,少年司法では基本中の基本の内容なので,確実に覚えておきたい内容です。
それでは,解説です。
1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。
これが正解です。
家庭裁判所は,触法少年に対して,不処分,保護処分を行うことができます。
保護処分には,「保護観察処分」「児童自立支援施設及び児童養護施設送致」「少年院送致」があります。
2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。
家庭裁判所が検察官に逆送致することができるのは,犯罪少年のみです。
触法少年と虞犯少年は,検察官への逆送致されることはありません。そのため。起訴もされませんし,起訴猶予処分となることもありません。
3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。
犯罪少年は,全件,家庭裁判所に送致されます。
警察が児童相談所に送致することができるのは,触法少年と虞犯少年です。
4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。
仮退院の許可決定は,地方更生保護委員会が行います。
5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。
児童相談所長が送致することができるのは,家庭裁判所です。
虞犯少年と触法少年は,検察官に送致されません。童福祉法の中で処遇されるからです。
〈今日の一言〉
非行少年には,犯罪少年,触法少年,虞犯少年の3種類がありますが,理解を容易にするために「犯罪少年」と「触法少年・虞犯少年」に分けて理解すると良いと思います。
「犯罪少年」は,刑事処分になることがあります。
「触法少年・虞犯少年」は,刑事処分になることはありません。