今回は,家族システムの事例問題を取り上げます。
家族システム論では,家族メンバーが交互作用を行っていると考えます。1人の不安は,ほかの家族メンバーにも影響を与えます。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題98
事例を読んで,R市子ども福祉課の社会福祉士が行う,家族システムの視点に基づいた今後の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(15歳)は,小学6年生の時に父親を交通事故で亡くした後,母親(37歳)と母方の祖母(58歳)の3人で暮らしている。母親は,朝から夜中まで働いているため,家事全般は祖母が担っている。Jさんは,中学生になった頃から,祖母へ暴言を吐くようになり,最近は家の中で暴れたり,家に帰ってこなかったりするようになった。祖母は途方に暮れ,友人でもある近所の民生委員・児童委員に相談すると,R市子ども福祉課の相談窓口を紹介され,来所につながった。
1 祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
2 家族の凝集性の高さが問題であるため,母親に祖母との距離を置くよう求める。
3 家族関係を理解するため,3人の互いの思いを尋ねていく。
4 家族システムを開放するため,Jさんの一時的別居を提案していく。
5 家族の規範を再確認するため,それぞれの役割について話し合う機会を設ける。
事例問題は,この問題のように,答えを限定しているものがあります。
対応が適切でも限定された答え以外のものは,正解になりません。
〈家族システムの視点に基づいていないもの〉
1 祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
2 家族の凝集性の高さが問題であるため,母親に祖母との距離を置くよう求める。
4 家族システムを開放するため,Jさんの一時的別居を提案していく。
〈家族システムの視点に基づいているもの〉
3 家族関係を理解するため,3人の互いの思いを尋ねていく。
5 家族の規範を再確認するため,それぞれの役割について話し合う機会を設ける。
この2つが正解です。
この問題でわかるように,家族システムに基づかないのは,家族メンバー個々に働きかけるものです。
家族システムに基づくものは,家族の関連性に着目して働きかけるものです。
家族システムの開放といった意味がわかりにくいものが出題されていて混乱しそうですが,そのあとの部分で不適切だということがわかります。