2024年10月23日水曜日

倫理的ジレンマの事例問題(1)

 

今回から数回にわたって,倫理的ジレンマの事例問題を解いてみたいと思います。


それでは,前説なしに今日の問題です。


精神保健福祉士

第19回・問題21

精神科病院を退院したAさんは,次第に昼夜逆転した生活となり,バランスの取れた食事もできていない状況にあった。精神科病院のB精神保健福祉士は,受診時にAさんと相談室で面接を行い,生活のリズムを整えることがAさんのために必要だと考え,デイケアの利用を勧めた。しかし,Aさんは,「デイケアには行きたくない。自分は退院しているし,やりたいことがある」と語った。B精神保健福祉士はAさんの思いを聞きつつも,Aさんの生活に不安を感じ,これからどのように関わっていけばよいか悩んだ。

 次のうち,B精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして,適切なものを1つ選びなさい。

1 クライエントの利益と所属機関の利益

2 秘密保持とプライバシー

3 自己決定とパターナリズム

4 バウンダリーとクライエントの利益

5 専門職的価値と個人的価値


倫理的ジレンマは,このようなスタイルで出題されます。


しっかり考えないと正解できません。


この事例の場合のポイント


Aさんは,「デイケアには行きたくない。自分は退院しているし,やりたいことがある」と語った。


B精神保健福祉士はAさんの思いを聞きつつも,Aさんの生活に不安を感じ,これからどのように関わっていけばよいか悩んだ。


正解は,選択肢3です。


自己決定によれば,デイケアには行かないということになります。しかし,B精神保健福祉士は,それでは生活に不安を感じています。


パターナリズムは,専門的立場でこのようにした方が良い,と考えることです。自己覚知ができていないと知らず知らずにパターナリズム的なかかわりになりがちなので注意が必要です。


なお,バウンダリーとは,自分と人の境界線のことをいいます。


バウンダリーがあいまいになると,こうしてくれるだろうといったように,人に過剰な期待を寄せてしまうので,これも注意が必要です。

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