ソーシャルワークで,初回面接(エンゲージメント,あるいはインテーク)が重視されるのは,初回面接は特別なものだからです。
クライエントはワーカーに対して,どこまで話したらよいのだろう,この人は何をしてくれる人なのだろう,という気持ちを抱いています。
どんなにクライエントとの関係づくりが下手な人でも,2回目の面接は1回目よりも親しみを持ってもらっていると思います。
そのため,初回面接の基本がより求められます。
国家試験では,基本が問われます。
教科書の初回面接の部分をもう一度確認しておくようにしてください。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題102
事例を読んで,N市の地域包括支援センターのJ社会福祉士の初回面接の対応に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
J社会福祉士は,初めて地域包括支援センターに来所したKさん(66歳,女性)の相談を受けた。「娘が結婚して家を出て以来,夫と二人で暮らしてきました。1年前に夫が定年で退職した頃から,夫が塞ぎ込み不眠にも悩まされるようになりました。V病院を受診していますが,一向に良くなりません。私にささいなことで怒鳴ることがあり,どうしたらいいか分かりません」と不安そうに話した。
1 夫婦間の問題であるため,配偶者暴力相談支援センターに相談するよう伝える。
2 夫の不眠の症状を改善させる方法をアドバイスする。
3 Kさんが問題や不安を落ち着いて語れるように心掛ける。
4 V病院にKさんの夫の医療情報を照会する。
5 Kさんに対して地域包括支援センターの役割について説明する。
問題の難易度としては簡単な部類に入りますが,答えを2つ選ぶものなので,それを忘れないことが重要です。
それでは解説です。
1 夫婦間の問題であるため,配偶者暴力相談支援センターに相談するよう伝える。
自分の機関では対応できないとき,他機関を紹介することをリファーラルといいます。
単なるDVなら,配偶者暴力相談支援センターが適切であるかもしれません。
しかし,この事例では,配偶者暴力相談支援センターに相談しても解決はできません。
2 夫の不眠の症状を改善させる方法をアドバイスする。
初回面接でのアドバイスは,エンゲージメントの基本から外れます。
3 Kさんが問題や不安を落ち着いて語れるように心掛ける。
これが1つめの正解です。
初回面接でのクライエントは,とても不安です。落ち着いて語れるように心がけるのは,エンゲージメントの基本に即しています。
4 V病院にKさんの夫の医療情報を照会する。
今後,夫の医療情報が必要になることがあるかもしれません。
しかし,通常の初回面接ではなく,あくまでもその後の対応です。
夫の医療情報を照会するとすれば,Kさんの支援に必要な場合です。
5 Kさんに対して地域包括支援センターの役割について説明する。
機関の機能を説明するのは,エンゲージメントに含まれます。