2024年10月26日土曜日

家族システム論における円環的とは?

 

今回は,家族システム論を学びます。


システム理論は,人と環境は交互作用を行っていると考えます。


交互作用とは,人は環境に影響を受けて変化し,環境は人に影響を受けて変化することをいいます。


家族システム論は,家族内で交互作用が起きることを述べたものです。


さて,今日のテーマは「家族システム論における円環的とは?」です。


円環的とは,原因と結果が直線的ではなく,始まりと終わりが明確ではない円のように,原因と結果は影響していることをいいます。


よく例に出される親と子の関係


A













B













AとBは始まりが異なります。しかし,どっちが原因なのかが明確にはわかりません。


これが円環的です。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題99

家族システム論に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 家族内で生じる問題は,原因と結果が円環的に循環している。

2 各家族員の分化度が高いほど,家族内において相互依存が生じる。

3 家族の内と外は,区別されず連続している。

4 ある家族の全体が有する力は,各家族員が持つ力の総和に等しい。

5 多世代家族において,一つの世代の家族の不安は,別の世代の家族に影響を与えない。


今日のテーマは,選択肢1に出題されています。

選択肢2には,「分化度」というよくわからないものが出題されています。


分化度にとらわれることなく,正解にたどり着きたいです。


それでは,解説です。


1 家族内で生じる問題は,原因と結果が円環的に循環している。


前説に書いたようにこれが正解です。


システム理論は「円環的」ととらえます。システム理論にかかわらず,「直線的」と出題された場合は誤りだと判断できます。


2 各家族員の分化度が高いほど,家族内において相互依存が生じる。


分化度とは,家族の心理的なつながりの度合いです。


分化度とは,分かれている度合いという意味なので,家族の心理的なつながりが強いのは,分化度が低いほうです。


家族内の相互依存が生じるのは,分化度が低い場合です。


3 家族の内と外は,区別されず連続している。


家族の内と外は,連続していません。家族内と家族外は明らかに区別されます。


家族以外,つまり環境が家族と同じものにはなり得ません。垣根を低くしたところで,家族間のつながりの強さは,家族外よりも弱いと考えられます。


4 ある家族の全体が有する力は,各家族員が持つ力の総和に等しい。


システム理論では,創発特性という考え方があります。


創発特性とは,システムの構成要素が影響し合うことで,もともとのものとは異なるものが創られることをいいます。


そのため,全体の力は,個々がもつ力よりも弱くなったり,強くなったりします。


5 多世代家族において,一つの世代の家族の不安は,別の世代の家族に影響を与えない。


多世代家族とは,二世代世帯以上の家族のことです。


家族システム論では,家族メンバーが交互作用を行っていると考えます。1人の不安は,ほかの家族メンバーにも影響を与えます。

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