2017年11月9日木曜日

国試まで3か月 国試に合格する勉強方法とは?

社会的養護には,里親委託などの家庭的養護と児童養護施設などの施設養護があります。


ある人に聞いた話では,「外国には,乳児院がない。乳児院があるのは,日本の児童福祉観が貧しいことの表われ。恥ずかしい」とのことです。

これが正しいかどうかは分かりません

しかし,1909年のホワイトハウス会議では「家庭生活は文明の最高にして最も素晴らしい所産である。児童は緊急やむを得ない理由がない限り,家庭生活から引き離されてはいけない」という声明が発表されています。

そういう意味では,家庭的養護の方向は正しいと言えるのかもしれません。


2017年施行の改正児童福祉法では,虐待予防と自立支援が主な内容となっています。

その中では,里親委託の推進が強く打ち出されています。


そのために児童相談所の業務に里親の開拓と里親支援を盛り込んでいます。

国は相当力を入れていることが分かることでしょう。


話はそれますが,同法改正で児童相談所に弁護士(あるいはそれに準じる)の配置の措置を行うものとされています。

弁護士が確保できるのかと思っていたら,仕事の取れない弁護士がけっこう応募してきているという話を聞きました。


さて,今日のテーマは「国試まで3か月 国試に合格する勉強方法とは?」です。


結論を先に言うと・・・


分からないものが出題されたときに,決して動揺することなく,推測できる力をつけること。



勉強しているときは,分からないものがあっても,調べれば分かります。国家試験では調べることができません。

分からないものが出題されたときにどのように対応するか。

自分の知っている知識を総動員して,予測,推測することです。

過去の国試問題や模擬問題を解く意味はここにあります。



それでは今日の問題です。



25回・問題137 

社会的養護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 保護者のない児童,被虐待児童など家庭環境上養護を必要とする者であって,社会的養護関係施設への入所児童,里親,ファミリーホームヘの委託児童の2012(平成24)3月末時点の在籍・委託児童数は,合計10万人に達する。


2 情緒障害児短期治療施設は,軽度の情緒障害を有する児童を,短期間,入所させる施設であることから,入所期間は1年以内と児童福祉法で規定されている。


3 児童福祉法に基づく里親のうち,親族里親については,児童相談所長の判断で里親認定を行う。


4 社会的養護をできる限り家庭的な環境で行うために,児童の措置を行う場合については,里親委託を優先して検討するべきであるとの原則が厚生労働省より通知されている。


5 児童養護施設について,児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成24531日厚生労働省令第38)における児童指導員及び保育士の配置は,少年おおむね6人につき1人以上から,3人につき1人以上に改正された。


今となっては,この問題は成立しません。

なぜなら今年の4月(2017年)から情緒障害児短期治療施設は「児童心理治療施設」に名称が変わっているからです。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 保護者のない児童,被虐待児童など家庭環境上養護を必要とする者であって,社会的養護関係施設への入所児童,里親,ファミリーホームヘの委託児童の2012(平成24)3月末時点の在籍・委託児童数は,合計10万人に達する。


この時点ではかなり難しかったのではないでしょうか。


しかし,今ならそんなに難しくないです。


なぜなら児童相談所への相談件数が10万件を超えたというのが話題になっていたからです。

相談件数が10万件で,在籍,委託数が同じ10万件であることはないと想像がつくのではないでしょうか。


答えとしては4万人です。よって間違いです。


なお「達している」といった出題は,多くの場合は「達していない」ことが多いのが特徴です。


ぜひ覚えておきましょう。


2 情緒障害児短期治療施設は,軽度の情緒障害を有する児童を,短期間,入所させる施設であることから,入所期間は1年以内と児童福祉法で規定されている。


今までは,この手の出題は多かったのですが,名称が「児童心理治療施設」に変わったことから,もう今後はないでしょう。

短期という名称はついていましたが,期間の定めはないのです。

よって間違いです。


3 児童福祉法に基づく里親のうち,親族里親については,児童相談所長の判断で里親認定を行う。


里親の認定は,都道府県知事が行っています。

よって間違いです。


4 社会的養護をできる限り家庭的な環境で行うために,児童の措置を行う場合については,里親委託を優先して検討するべきであるとの原則が厚生労働省より通知されている。


これが正解です。

今もこの通知自体が生きているのかどうか分かりませんが,国の方針を考えるとこれ以外に正解はあり得ません。児童相談所の業務にも里親開拓を含めるくらいです。



5 児童養護施設について,児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成24531日厚生労働省令第38)における児童指導員及び保育士の配置は,少年おおむね6人につき1人以上から,3人につき1人以上に改正された。



これはちょっと難しいかもしれませんね。


しかし大いにヒントはあります。

介護保険施設の介護職員の配置基準は,利用者3人つき1名以上となっています。

児童施設と高齢者施設と同じ配置基準になるとは考えにくいです。

正しくは,5.5人に一人です。答えを聞いて納得です。

普通に考えても配置基準をいきなり倍にするのは現実的にも難しいでしょう。



<今日のまとめ>

分からないものは,知っているものをヒントに考えることが必要です。

どんなに勉強しても,知らないものは出題されます。


問題を解くときに,さまざまな推論をしてみることは欠かせません。

別な言い方をすると,考える,予想する,推論する,などをしない勉強では,合格基準点を上回ることは難しいと言えます。


これからの3か月は,これらをぜひ意識してみて学習すすめていきましょう。

国家試験までの3か月間で,合格するためにできることはたくさんあります。

決してあきらめず,決してモチベーションを下げることなく,3か月を有効活用していきましょう!!

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