サ高住(サービス付き高齢者住宅)は,2011年の高齢者住まい法の改正によって新設されました。
それによって,従来の高専賃,高円賃,高優賃は廃止されています。
それからわずか6年,約7,000棟が登録されています。
1963年に制度化された特別養護老人ホームの数は現在,約8,000施設。
サ高住の数は,急速に増加していることが分かると思います。
出題されたのは,第25回,第26回,第28回です。
サ高住は,これからも出題されると予測されるので,基本事項はしっかり覚えておきましょう。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題135
「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は高齢者居住安定確保計画で,その区域内における高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標,高齢者居宅生活支援事業に供する施設の整備の促進に関する事項などそれらの目標を達成するために必要なものを定めることができる。
2 サービス付き高齢者向け住宅事業とは・高齢者向けの賃貸住宅又は有料老人ホームに高齢者を入居させ,状況把握サービス,生活相談サービス,介護保険サービス,その他高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する事業である。
3 サービス付き高齢者向け住宅事業の登録を受けている有料老人ホームの設置者については,特例として老人福祉法による有料老人ホームの事業内容の届出,事業内容の変更,廃止・休止の届出規定は適用されない。
4 終身建物賃貸借とは,都道府県知事の認可を受け,公正証書による書面等によって契約をするときに限り,借地借家法の適用を受けて,高齢者の賃借人が死亡したときに賃貸借を終了する旨定めることができる制度である。
5 都道府県知事が終身建物賃貸借事業の認可をする基準の一つには,賃貸住宅整備工事の完了前に敷金を受領することは構わないが,終身にわたって受領すべき家賃の全部又は一部を前払金として一括して受領しないものであることが含まれる。
2025年に向けて,地域包括ケアシステムの構築が急がれます。
その中でも高齢者の住まいを確保することは中心議題となります。
有料老人ホームやサ高住がその選択肢の一つとなることでしょう。
住まいとしては,老人福祉法に規定される特別養護老人ホーム,養護老人ホーム,軽費老人ホームがありますが,これらの設置主体は限定されています。
それに比べて,認知症高齢者グループホームも含めて,有料老人ホーム,そしてサ高住は設置主体は限定されていません。
特にサ高住は,基準を満たしていれば登録できるので,数はこれからも増えていくことでしょう。
サ高住攻略のポイントは,登録するにはどのような基準があるかを押さえておくことです。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 市町村は高齢者居住安定確保計画で,その区域内における高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標,高齢者居宅生活支援事業に供する施設の整備の促進に関する事項などそれらの目標を達成するために必要なものを定めることができる。
サ高住に限らず,供給計画などを定めるのは都道府県です。よって間違いです。
2 サービス付き高齢者向け住宅事業とは・高齢者向けの賃貸住宅又は有料老人ホームに高齢者を入居させ,状況把握サービス,生活相談サービス,介護保険サービス,その他高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する事業である。
サ高住が行うのは,状況把握サービス,生活相談サービス,その他高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスです。
介護保険サービスは提供しません。介護保険サービスは,外部の事業者と契約して利用します。よって間違いです。
3 サービス付き高齢者向け住宅事業の登録を受けている有料老人ホームの設置者については,特例として老人福祉法による有料老人ホームの事業内容の届出,事業内容の変更,廃止・休止の届出規定は適用されない。
これが正解です。有料老人ホームは老人福祉法に規定されています。
しかしサ高住として登録している場合は,設問のような特例があります。
4 終身建物賃貸借とは,都道府県知事の認可を受け,公正証書による書面等によって契約をするときに限り,借地借家法の適用を受けて,高齢者の賃借人が死亡したときに賃貸借を終了する旨定めることができる制度である。
借地借家法は,建物賃貸借を定めたものです。これは相続の対象となります。
終身建物賃貸借は,高齢者住まい法の特例規定で,公正証書による書面等によって契約した場合,借地借家法の定めの適用を受けず,死亡したときに賃貸借を終了することを定めることができます。
終身建物賃貸借は,借地借家法ではなく,高齢者住まい法の規定です。よって間違いです。
5 都道府県知事が終身建物賃貸借事業の認可をする基準の一つには,賃貸住宅整備工事の完了前に敷金を受領することは構わないが,終身にわたって受領すべき家賃の全部又は一部を前払金として一括して受領しないものであることが含まれる。
工事完了前には,敷金,前払金を受け取ることはできません。よって間違いです。