「心理学理論と心理的支援」の出題基準には「学習・記憶・思考」があります。
現行カリキュラム以降は,以下のように出題されています。
学習 ➡ 第23・26・28回
記憶 ➡ 第23・29回
思考 ➡ なし
※参考書には,思考も書いてありますが,そんなところに時間をかけて勉強するのは,時間の無駄です。
9回のうち5回出題されているので,出題確率は55.6%です。
学習が出題された3回のうち,2回は条件づけです。
そんなわけで今日は,条件づけを覚えましょう。
悪いことに条件づけは,レスポンデント条件づけとオペラント条件づけがあり,あいまいに覚えていると答えられません。
しかし
瞬時に見分ける方法があります。
こういうところで時間を使わないで済むのか,時間をかけないと解けないのか,という差が出てきて,最後の最後の差になって現れます。
レスポンデント条件づけ
刺激 ➡ 反応
刺激がそのまま反応に変わります。
例:梅干しを見ると唾液が出てくる。
オペラント条件付け
行動 ➡ 行動(強化や弱化)
最初の行動の後に賞罰が伴います。
賞罰とは,ほめる,怒る,与える,与えない,などです。
この一段階が含まれているものがオペラント条件づけです。
さて,それでは今日の問題です。
第23回・問題9
次の記述のうち,オペラント(道具的)条件づけによる行動として,適切なものを一つ選びなさい。
1 梅干しを見ただけで,唾液が分泌される。
2 不安や恐怖を軽減するために,系統的脱感作を行う。
3 膝蓋健をハンマー等で軽くたたくと,足が上がる。
4 カモやアヒルが,生後最初に目にした動いているものを後追いする。
5 子どもが,周囲の大人から繰り返しほめられた行動を行うようになる。
さて,この問題はオペラント条件づけです。
ざっと見て,賞罰(ほめる,怒る,与える,与えない,など)が伴っているものはどれでしょう?
選択肢5ですね。
大人にほめられています。これが正解です。
それ以外の選択肢には賞罰が加わっていません。
因みに,
選択肢1と2は,レスポンデント条件づけ。
選択肢3は,膝蓋腱反射。
選択肢4は,刷り込み。
です。
さて,次の問題です。
第26回・問題9
レスポンデント(古典的)条件づけとオペラント(道具的)条件づけに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。
2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。
3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。
4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。
5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。
この問題は,レスポンデント条件づけとオペラント条件づけをミックスした問題です。
賞罰が伴っているか否かで,判断しましょう。
賞罰が伴っていない ➡ レスポンデント
賞罰が伴っている ➡ オペラント
分かりましたか?
ミックスされている分,文を読まなければならなかったことでしょう。
それでは,解説します。
1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。
賞罰が伴っていません。よってレスポンデント条件づけです。間違いです。
2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。
エサを与えるという賞罰が伴っています。
よってオペラント条件づけです。間違いです。
3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。
ほめるという賞罰が伴っています。
よってオペラントです。正解です。
4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。
賞罰が伴っていません。
よってレスポンデント条件づけです。間違いです。
5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。
エサを与えるという賞罰が伴っています。
よってオペラント条件づけです。間違いです。
<今日の問題>
今日の問題は,どちらも同じテーマの問題です。しかし難易度を比較すると,2問目の方が難しいです。
ポイントは,1問目は同じもの(オペラント)を聞いています。
2問目はミックスして出題されています。
1問目のタイプは,内容が分からなくても,それぞれの選択肢をよく比べてみると答えが分かることがあります。
一つだけ違うタイプを見つけ出せば良いからです。
全然見当がつかない時は,こういったテクニックを使うことも有効です。
今は,国試の問題文が短くなっているので,一つだけ違うタイプを見つけるのは,以前よりも容易になっています。