2017年11月5日日曜日

介護相談員を知っていますか?

「ケアマネ不要論」のようなものが時々湧き上がって来ますが,それは職能団体が自虐的?に言っているだけで,国は過去にそのようなことは言ったことはありません。

なぜなら,介護支援専門員は介護保険制度を根幹から支えるために生まれた資格だからです。

居宅ケアマネは日本の津々浦々までをサポートしています。

介護支援専門員は,介護保険の申し子とも言えますが,だからと言って,今のままで良いわけではありません。

介護支援専門員の中には,資格取得が人生の「あがり」だと思っている人もいて,それが不遜な態度となって出てくる人もいます。

そんな中,社会福祉士を目指す人の中には介護支援専門員の方も多いですが,それはとても素晴らしいことだと思います。

ぜひ社会福祉士資格を持った介護支援専門員として,よりよい対人援助がなされることを願っております。

さて,それでは今日の問題です。


25回・問題132


介護保険制度にかかわる専門職や人材に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 介護支援専門員は,要介護者等からの相談に応じ,サービス利用に向けて事業者等と連絡調整を行う者で,介護支援専門員実務研修受講試験の合格をもって登録される。


2 訪問介護員は,要介護者等に対して,入浴・排せつ等の介護その他の日常生活上の世話を行う者で,介護員養成研修修了者に限りその業務が認められている。


3 福祉用具専門相談員は,要介護者等への福祉用具の貸与等にかかわる相談や助言を行う者で,介護保険施設に配置される。


4 介護相談員は,介護サービス提供の場を訪ね,サービス利用者等の話を聴き,相談に応じる者で,利用者の疑問や不満の解消やサービスの質の向上を図る。


5 介護認定審査会の委員は,要介護(要支援)認定の申請を行った者につき,本人に面接し,心身状況,置かれている環境などについて調査をする。


この中で,あまり聞いたことがないのは,介護相談員ではないでしょうか。

介護相談員は,都道府県の研修,あるいは指定研修を受けて,市町村に登録して活動します。

研修事業等は,都道府県の役割でしたね。

しかし,介護相談員は,一般市民を対象として養成するので,市町村で養成研修を実施することもできます。ここが専門職に対する研修と一般市民が担う介護相談員の研修の違いです。

介護保険の地域支援事業の任意事業(介護サービスの質の向上に資する事業)なので,市町村が条例で定めて介護相談員派遣事業を実施します。

しかし条例で定めている市町村は少なく,全国でも500市町村程度,5,000人程度しかいません。

派遣を希望する介護保険サービス事業者に対して,市町村が介護相談員を派遣するものです。

派遣された介護相談員は,

・利用者の話を聞き、相談にのる
・サービスの現状把握に努める
・事業所の管理者や従事者と意見交換する

などを行いサービス提供等で気づいたこと,あるいは提案がある場合,事業所にその旨を伝えます。

介護相談員は,若干の報酬はもらえますが,基本はボランティアです。積極的な問題解決を図るような性格のものではありません。

介護相談員は知られていないものですが,国家試験では何度も出題されています。


それでは詳しく見て行きましょう。


1 介護支援専門員は,要介護者等からの相談に応じ,サービス利用に向けて事業者等と連絡調整を行う者で,介護支援専門員実務研修受講試験の合格をもって登録される。


ケアマネ試験と一般的に言われますが,正しくは,「介護支援専門員実務研修受講試験」です。実務研修を受講する資格を得るための試験です。

これを受講して,登録することで晴れて介護支援専門員となります。

よって間違いです。


実務研修のカリキュラムが変わり,現場の「見学」が新しく加わっています。

カリキュラムに加わっても,実習生を受け入れしてくれる事業所がないと研修が成り立たなくなってしまいます。

国は頭がいいなぁと思うのは,この改正に伴って,特定事業所加算の算定要件に実習受け入れを加えたことです。



2 訪問介護員は,要介護者等に対して,入浴・排せつ等の介護その他の日常生活上の世話を行う者で,介護員養成研修修了者に限りその業務が認められている。


ヘルパー研修は,かつては1級から3級までありましたが,現在は廃止されています。

指定訪問介護事業者の訪問介護には,介護福祉士,介護職員初任者講習修了者,実務者研修修了者が行うことが認められます。

よって間違いです。


3 福祉用具専門相談員は,要介護者等への福祉用具の貸与等にかかわる相談や助言を行う者で,介護保険施設に配置される。


福祉用具専門相談員は,介護保険施設ではなく,福祉用具貸与事業所等に配置されます。

よって間違いです。

任用資格は,福祉用具専門相談員指定講習を修了した者ですが,社会福祉士,介護福祉士は指定講習を修了しなくてもなることができます。

指定講習を指定するのは,もちろん都道府県の役割です。


4 介護相談員は,介護サービス提供の場を訪ね,サービス利用者等の話を聴き,相談に応じる者で,利用者の疑問や不満の解消やサービスの質の向上を図る。


これが正解です。

都道府県等が実施する研修を受けて,介護相談員になります。しかし基本はボランティアであることを忘れてはなりません。



5 介護認定審査会の委員は,要介護(要支援)認定の申請を行った者につき,本人に面接し,心身状況,置かれている環境などについて調査をする。


介護認定審査会は,一次判定を踏まえて,要介護認定のための二次判定を行う機関です。

置かれるのは市町村です。

介護保険審査会は都道府県に設置されます。

言葉が似ているので読み間違いしないように気を付けましょう。

訪問調査を行うのは,介護認定審査会の委員ではなく,訪問調査員です。

よって間違いです。


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