福祉事務所を今回も続けます。
それでは,前説なしに今日の問題です。
第27回・問題69 福祉事務所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の社会福祉主事は,都道府県知事又は市町村長の協力機関である。
2 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(地区担当員)は,社会福祉法で定める社会福祉主事でなければならない。
3 市町村は,その区域を所管区域とする福祉事務所を設置しなければならない。
4 福祉事務所の長は,社会福祉士でなければならない。
5 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(地区担当員)は,生活保護法以外の業務に従事してはならない。
しっかり勉強した人なら,正解をすぐ選ぶことができるでしょう。
しかし,問題自体は,勉強が足りない人が簡単に解ける問題ではありません。
これが法制度に関する問題の怖さです。
誰も解けないような難しい問題が解けると気持ちが良いですが,合格基準点を超えるために重要なのは,誰もが解ける問題で確実に点数することです。
勉強した人は合格する。
勉強が足りない人は不合格になる。
極めて単純明快な論理です。
勉強した人の基準は,こういった問題が確実に解けることです。
難解な問題が解けることではありません。
それでは解説です。
1 福祉事務所の社会福祉主事は,都道府県知事又は市町村長の協力機関である。
社会福祉主事は,戦後GHQの指導により,作られたものです。
歴史を紐解けば・・・
救護法で,民生委員の前身である方面委員が市町村長の補助機関となりました。
旧生活保護法でも救護法に引き続き,民生委員が市町村長の補助機関となりました。
方面委員は,今の民生委員のように,地域のボランティアのような立場です。
補助機関とは,救護(保護)の執行を実際に行うことをいいます。
GHQは,これを問題視して,「有給の官吏」(ちゃんとした公務員)に補助をさせることを指示します。
その結果,生まれたのが社会福祉主事です。
社会福祉主事が補助機関となり,民生委員が協力機関となり,現在に至っています。
社会福祉主事は補助機関です。よって間違いです。
2 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(地区担当員)は,社会福祉法で定める社会福祉主事でなければならない。
これが正解です。
査察指導員と現業員は社会福祉主事でなければなりません。
出題3回目でようやく正解選択肢となりました。
3 市町村は,その区域を所管区域とする福祉事務所を設置しなければならない。
福祉事務所を設置しなければならないのは,都道府県及び市です。町村は任意で設置することができます。
よって間違いです。
ケアすべきポイントは「市町村」です。旧カリ時代から幾度も同じように間違い選択肢として出題されてきたものです。
4 福祉事務所の長は,社会福祉士でなければならない。
これも間違いです。
現在のところでは,社会福祉士を置かなければならないのは,介護保険法に基づく地域包括支援センターのみです。
任用資格ついては,社会福祉士のみが任用資格になっているものは存在しません。
つまり,
「社会福祉士でなければならない」という出題があったら,すべて間違いだということになります。すぐさま消去してください。
今後は社会福祉士のみが任用資格になるものが登場するかもしれません。しかし福祉事務所は社会福祉主事の聖域なので,社会福祉主事は絶対に残されることでしょう。
5 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)及び現業を行う所員(地区担当員)は,生活保護法以外の業務に従事してはならない。
これも間違いです。
社会福祉法では,「その職務の遂行に支障がない場合に、これらの所員が、他の社会福祉又は保健医療に関する事務を行うことを妨げない」と規定しています。
<今日の一言>
3回にわたって,福祉事務所を取り上げました。
正解選択肢は,
第21回は,福祉事務所を設置しなければならないはどこ?
第26回は,市の設置する福祉事務所の長は,誰の指揮監督を受ける?
第27回は,福祉事務所の職員のうち,社会福祉主事でなければならないのは誰?
といったものになります。
決して奇をてらったものではありません。
正解選択肢は,正解選択肢としての意義があります。
つまり・・・
正しく覚えてほしいものを正解選択肢とします。
国試問題を解いてみて,正解選択肢はどれであるかは分かるけれど,他の選択肢はどこがどう違っているので間違い選択肢であるのかが分からないものも実はあります。
過去問題集が発行された後に,「こういうことだったのか」と分かることも多々あります。
しかし,多くの場合・・・
参考書や教科書を調べれば分かるものが正解選択肢となり,ネットで調べてようやく分かるといったものは,正解選択肢にはなりにくいものです。
もし,あまり知られていないものが正解選択肢として選ばれるとするならば,他の選択肢は確実に消去できるものでなければなりません。
いずれにしても,正解選択肢として選ばれるためには,それだけの意味のあることなのだということを覚えておきましょう。
そこには試験委員のメッセージが隠されているのです。
他の国試は分かりませんが,社会福祉士の国試では,正解選択肢に明らかなメッセージ性があります。
これからの時期は,過去問で仕上げていくときだと思いますが,正解選択肢と間違い選択肢の違いに着目すると良いと思います。
慣れてくると,正解選択肢はキラキラと浮き上がって見えてくるはずです。
そうなれば,国試での得点力はかなり増すことでしょう。
私たちチームfukufuku21は,正解選択肢がキラキラして見えてくるように,メッセージを送り続けたいと思います。