2018年10月29日月曜日

国民医療費は出題確率100%!!~その10

国民医療費は今日が最終回です。

まずは今まで出題されたものをまとめてみましょう。


国民医療費にかかわる出題ポイント(2)

・国民医療費 ➡ 40兆円を超えている。40兆円を超えたのは平成25年度
・対NI(国民所得)比 ➡ 10%を超えている。
・公費が保険料を超えることはない!!
・入院 4割 入院外 4割 その他 2割
・最も多いのは「循環器系の疾患」
・65歳以上の医療費は約6割,70歳以上 約5割 75歳以上 約3割である。
・患者の支払う一部負担金は,国民医療費の約1割である。
・医療機関の費用のうち,人件費は5割を超える。
・国民医療費の財源は,公費 4割,保険料 5割,その他1割である。
・国民医療費のうち,病院が約5割を占める。
・国民医療費には,正常な妊娠・分娩に要する費用は含まれない。
・推計費用に含まれるのは,公費,保険料,一部負担金。
・市販の売薬は,保険外なので国民医療費には含まれない。
・国民医療費は,平成12年,平成14年,平成18年,平成28年に前年を下回っている。
・2009年度の国民医療費の伸び率は,GDP,NIの伸び率を上回っている。
・2009年度の国民医療費の総額を前年度と比べると,65歳以上,65歳未満ともに増加している。
・65歳以上の年齢層では,高齢になるにしたがって,受診率,1件当たりの日数,1日当たり医療費は増加する。
・国民医療費に占める公費負担医療給付分の割合は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。
・国民医療費に占める薬局調剤医療費は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。
・財源別国民医療費のうち患者負担は,増加傾向だか,一貫して増加しているわけではない。
・制度区分別国民医療費では,医療保険等給付分の次に比率が多いのは,後期高齢者医療給付分である。
・人口一人当たり国民医療費は,65歳以上は約70万円,70歳以上は約80万円,75歳以上は約90万円である。
・制度区分別に金額は,平成27年度までは,国民健康保険の総額は被用者保険の総額よりも多かったが,平成28年度は逆転した。
・医科診療医療費の診療種類別の割合は,入院医療費は入院外医療費よりも多い。

国試の回数を重ねるたびに,少しずつ覚えるべき内容が増えてきます。


今日取り上げる問題は,過去最高に合格基準点が高くなった第30回の問題です。

前回の問題は難易度が高い問題でしたが,今回の問題は逆に難易度がかなり低い問題です。

それでは今日の問題です。

第30回・問題70 2008年度(平成20年度)から2015年度(平成27年度)における日本の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民医療費に占める後期高齢者医療費の割合は,増加している。

2 国民医療費の国民所得に占める比率は,減少している。

3 国民医療費に占める入院外医療費の割合は,増加している。

4 国民医療費の公費による財源別負担割合は,国庫の負担割合よりも地方の負担割合の方が高い。

5 国民医療費に占める薬局調剤医療費の割合は,入院外医療費の割合よりも高い。


この問題の難易度が低くなった理由は,一般イメージと正解が一致しているからです。
それでは解説です。

1 国民医療費に占める後期高齢者医療費の割合は,増加している。

これが正解です。

国民医療費が増加しているのは,多くの人が知っているものです。

また高齢者の比率も高まっていることも多くの人が知っているものです。

このような状況から後期高齢者医療費が減少しているはずがありません。

2 国民医療費の国民所得に占める比率は,減少している。

これは間違いです。

国民所得(NI)に占める国民医療費の割合は,年によって増減がありますが,増加傾向にあります。年によって増減する理由は国民所得は,景気によって上下するからです。

しかし,増加傾向にあるのは間違いありません。現在の対NI比は約11%です。


3 国民医療費に占める入院外医療費の割合は,増加している。

これも間違いです。

入院外医療費は2008年度は37.7%だったものが2015年度では,34.2%に低下しています。


4 国民医療費の公費による財源別負担割合は,国庫の負担割合よりも地方の負担割合の方が高い。

これも間違いです。

国と地方の負担割合は,2:1です。

多くの制度は,国の負担は,地方よりも多い,あるいは国と地方は同等なのが一般的です。


5 国民医療費に占める薬局調剤医療費の割合は,入院外医療費の割合よりも高い。

これも間違いです。

薬剤代は約20%,入院外医療費は約35%です。


<今日のちょっと長い一言>

今日の問題は,選択肢1が一般イメージと実態が一致していたので,それを選択した人は多かったと思います。

この選択肢がもう少し明確ではないような内容だったとしたら,途端に難易度が上がります。
なぜなら,選択肢3の入院外医療費の占める割合は低下しているものの,低下率はごくわずかです。この選択肢が正解になっていたら,選択できる人はかなり少なくなるでしょう。

選択肢5も薬局調剤医療費と入院外医療費ではどちらが多いかは,知識がなければ一般イメージでは分からないものでしょう。

チームfukufuku21が試験委員なら,次の国家試験では,

選択肢3を正解選択肢として出題すると思います。

国民医療費に占める入院外医療費の割合は,減少している。

これを選択できる人は,この問題をしっかり理解した人だけであり,勉強不足の人は解けないものだからです。

試験センターは,今までの国試で膨大なデータを蓄えていると考えられます。
特に第30回は,振れ幅が大きかったので,試験センターとしては,貴重なデータを取れたと思います。

問題の作り方がちょっと違うだけで,難易度が大きく変わります。
難易度がどう変わろうと覚えるべき内容が変わるものではありません。

合格基準点の上下を気にする必要は一切ありません。
ひたすら出題基準に示された内容を覚えていくのみです。

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