2018年10月17日水曜日

医療保険の徹底理解~その2

今回も高額療養費を続けていきたいと思います。

まずは前回の復習です。

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/10/blog-post_16.html


ここでも書きましたが,金額そのものや細かい数字が出題されたのは,その時のみです。

この科目が始まった第1回の国試だったので,試験委員が張り切って出題したものの,そこまでの知識は社会福祉士の国試には求められていなかったということなのでしょう。

それでは今日の問題です。

第27回・問題70 医療保険の高額療養費制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高額療養費における自己負担額の「世帯合算」では,被保険者と被扶養者の住所が異なっていても合算できる。

2 高額療養費における自己負担額の「世帯合算」では,家族が別々の医療保険に加入していても合算できる。

3 高額療養費制度の支給対象には,入院時の「食費」・「居住費」も含まれる。

4 高額療養費の申請を受け付けた場合,受診した月から少なくとも1か月で支給しなければならない。

5 高額療養費の支給申請を忘れていても,消滅時効はなく,いつでも支給を申請できる。


制度は,知っていれば解ける,知らなければ解けない,という資格取得試験にとって極めて重要な出題がなされるものです。

勉強しない人が解けてはいけないのです。

その面では,「細かい数字は出題しない」というルールがあるのかないのか,分かりませんが,この問題は妙に中途半端な印象がします。

それでは,解説です。


1 高額療養費における自己負担額の「世帯合算」では,被保険者と被扶養者の住所が異なっていても合算できる。

これが正解です。ちゃんと復習してから解いた人は,解けたと思います。いかがでしたか?

住所が違っていても扶養関係にあれば世帯合算できます。


2 高額療養費における自己負担額の「世帯合算」では,家族が別々の医療保険に加入していても合算できる。

これは間違いです。

世帯合算できるのは,同じ医療保険に加入している場合です。夫が健康保険,子どもは夫の扶養,妻は夫とは別の健康保険,という場合,世帯合算できるのは

夫と子どものみです。

妻と子ども,あるいは夫と妻では世帯合算できません。


3 高額療養費制度の支給対象には,入院時の「食費」・「居住費」も含まれる。

これも間違いです。

入院時の食費,居住費は含まれません。


4 高額療養費の申請を受け付けた場合,受診した月から少なくとも1か月で支給しなければならない。

これも間違いです。このような規定はありません。

第30回国試ではでたらめな選択肢はほとんど出題されませんでしたが,第31回では,このようなタイプのでたらめ選択肢が含まれることでしょう。

ちゃんと勉強した人なら,「知らないものは,でたらめ選択肢なのだ」と自信を持ちましょう。


5 高額療養費の支給申請を忘れていても,消滅時効はなく,いつでも支給を申請できる。
これも間違いです。

第22回のような出題なら,おそらくこの選択肢は,高額療養費の支給申請は,3年を過ぎると時効になる,といった出題になっていたと思われます。

時効は,診療月の次の月の1日を起算として,そこから2年で消滅します。

いつでもということになれば,何十年後先でもできることになってしまいますが,そんなことはないことは想像つきます。


<今日の一言>

第30回国試は,でたらめ選択肢がほとんど出題されていないので,勉強した人はしっかり得点を積み上げていきました。

今後も同じ方針でいくか,変えて出題してくるかどうかは分かりません。

しかし,またでたらめ選択肢のようなものを絡めることは十二分に考えられます。

そのようなタイプの問題は,急激に正解率が下がります。

なぜなら,正解は比較的分かりやすいものが選ばれていたとしても,でたらめ選択肢に引きずられることで,冷静な判断ができなくなってしまうからです。

何度も受験しても合格できないという方は大勢いるでしょう。

多くの場合,知識の有無ではなく,マインドの問題だと考えています。

これから国試までは,どれだけ勉強しても不安は尽きることはありません。

昨日は理解できなかったことは今日は理解できた

昨日は解けなかった問題が今日は解けた

といった小さなことを喜びに変えましょう。

その積み重ねが自信につながることでしょう。

ブトゥリムは,「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」をソーシャルワーク固有の価値前提としています。

そのうち,変化の可能性は,自分の意思で変化することができるという意味です。

「だめだ」「自分に能力がない」と思うと気持ちはマイナスに傾きます。

これからは,前だけを向いていきましょう。

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