2018年10月6日土曜日

生活保護の実施の徹底理解~その1

今回からまた「低所得者に対する支援と生活保護制度」に戻ります。

まずは基本を押さえましょう。


<質問>

居住地がない,又は明らかではない要保護者は,誰が保護を実施するでしょうか?


<答え>

現在地の実施機関が保護を行います。

それでは,早速今日の問題です。

第22回・問題61 35歳独身のDさん(本籍地P市)は,Q市の会社で働いていたが,解雇されるまで住んでいたR市のアパート(住所地)を出ざるを得なくなった。新たな仕事は見つからずS市にある公園で野宿を続けていた。ある日公園で倒れていたところを警察官が発見し,通報により救急車で隣県T市の病院に搬送された。Dさんは,病院で肝硬変で当面入院が必要と診断されたが,医療費と生活費の捻出が困難なため生活保護の申請に至った。
 次のうち,Dさんに対して生活保護を実施する福祉事務所の所在地として,適切なものを一つ選びなさい。

1 P市(Dさんの本籍地)
2 Q市(会社の所在地)
3 R市(Dさんの住所地)
4 S市(野宿をしていた公園の所在地) 
5 T市(搬送された病院の所在地)


この手の問題は,たくさんの市が出てくるので,とても複雑に見えます。

しかし,基本を押さえれば,複雑に絡み合うものを掻き分けて答えにたどり着くことができます。

しかもこの問題は,各市のあとに,それは何かということを丁寧に書いてくれています。

居住地がない,又は明らかではない場合は,現在地の保護の実施機関が保護します。

この事例では,野宿していた公園が現在地となるので,答えはS市である選択肢3となります。


それではもう一問いきましょう。


第28回・問題66 事例を読んで,Gさんの保護を行う実施機関として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
単身のGさんは,非正規雇用でP市の会社で働いていたが雇用期間が満了しそれまで住んでいたQ市のアパートを退去した。1か月後,野宿をしていたR市にある河川敷で体調をくずし倒れた。通報によりS市の医療機関に救急搬送され入院した。Gさんは,T市に住民登録をしているが,医療費と生活費の捻出が困難な状況にある。

1 P市の実施機関である。
2 Q市の実施機関である。
3 R市の実施機関である。
4 S市の実施機関である。
5 T市の実施機関である。

第22回の問題とそっくりです。

第22回と違うのは,選択肢に説明書きがないということになります。

その分慎重に,現在地を見つけなければなりません。

そうすると野宿していたR市が見つけられます。

正解は,選択肢3です。

糸口が見つかれば,ぜんぜん難しくはないですが,基本が分かっていなければ,決して解けない問題です。

社会福祉士の国試の特徴は,出題範囲は広いですが,決して深掘りしないことです。

そのために,第22回と第28回はそっくりな問題となっています。


<今日の一言>

社会福祉士の国試は,基本を押さえれば,絶対に何とかなります。

法制度に関する出題に応用力は必要としないのです。

それが法制度の特徴です。

法制度とは,適用範囲を明確にするものだからです。

だからこそ,法制度のすき間に入ってしまうクライエントが生じます。

法制度にあいまいさはないからです。それが法制度です。

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