2018年10月22日月曜日

国民医療費は出題確率100%!!~その3

今回も国民医療費を続けます。

国民医療費が増大していることは知っていても,その規模や内容まで詳しく知る国民はそんなに多くはないと思います。

知っていそうで知らない国民医療費と言えるかもしれません。

しかし,慌てることがなければ,得点できます!

こういったところで,得点できるか,できないか,が合否を分けると言っても決して過言ではありません。

今日の問題は,費用推計に関してです。

厚生労働省では,国民医療費の費用推計について,以下のようにまとめています。

 「国民医療費」は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。

 この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。

 なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。

 また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。

としています。

これをまず押さえて,今日の問題です。

第24回・問題63 国民医療費に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 国民医療費は,当該年度の医療機関における傷病の治療と正常な妊娠や分娩等に要する費用を推計したものである。

2 患者による一部負担は推計費用に含まれない。

3 保険薬局の調剤費は含まれるが,市販の売薬の費用は推計費用に含まれない。

4 財源別国民医療費(平成20年度)では,国庫及び地方負担の総額である公費の割合が,事業主及び被保険者の総額である保険料よりも大きい。

5 国民医療費総額は平成12年度から平成20年度まで,一貫して伸び続けている。


分かるものと分からないものがあるかもしれませんが,落ち着けば何とかなります。

それでは解説です。


1 国民医療費は,当該年度の医療機関における傷病の治療と正常な妊娠や分娩等に要する費用を推計したものである。

これは間違いです。

国民医療費には,正常な妊娠・分娩に要する費用は含まれません。


2 患者による一部負担は推計費用に含まれない。

これも間違いです。

推計費用に含まれるのは,公費,保険料,一部負担金です。


3 保険薬局の調剤費は含まれるが,市販の売薬の費用は推計費用に含まれない。

これが正解です。

市販の売薬は,保険外なので国民医療費には含まれません。


4 財源別国民医療費(平成20年度)では,国庫及び地方負担の総額である公費の割合が,事業主及び被保険者の総額である保険料よりも大きい。

これも間違いです。

ここでようやく前回までの知識が使えます。

公費が保険料を超えることはない!!


5 国民医療費総額は平成12年度から平成20年度まで,一貫して伸び続けている。

これも間違いです。

国民医療費は増えてきていますが,一貫しているわけではありません。

国民医療費は,平成12年,平成14年,平成18年,平成28年に前年を下回っています。

平成12年が減少したのは,老人医療費の一部が介護保険に移行したこと,それ以外は診療報酬の引き下げが理由です。


<今日の一言>

勉強不足の人の傾向を考えた時,選択肢5を正解にする人が比較的多かったのではないかと思います。

「一貫して」という間違い選択肢になりやすい言葉は入っていますが,国民医療費は増大していることは知っているので,選んでしまいがちなのです。

右肩上がりではありますが,平成12年,14年,18年,28年は減少しているので,一貫して増大しているわけではありません。

この問題には,他にも正常分娩,市販の売薬など,勉強不足の人の判断を惑わせる仕掛けが含まれています。

しかし落ち着いて考えると,市販の売薬が国民医療費に含まれることはあり得ないのです。自己責任において使用されるものであり,国がわざわざその費用を統計に入れる必要がないからです。

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