今までの出題で覚えてきたことをまとめてみましょう。
国民医療費にかかわる出題ポイント(1)
・国民医療費 ➡ 40兆円を超えている。
・対NI(国民所得)比 ➡ 10%を超えている。
・公費が保険料を超えることはない!!
・入院 4割 入院外 4割 その他 2割
・最も多いのは「循環器系の疾患」
・65歳以上の医療費は約6割,70歳以上 約5割 75歳以上 約3割である。
・患者の支払う一部負担金は,国民医療費の約1割である。
・医療機関の費用のうち,人件費は5割を超える。
・国民医療費の財源は,公費 4割,保険料 5割,その他1割(一部負担金等)である。
・国民医療費のうち,病院が約5割を占める。
・国民医療費には,正常な妊娠・分娩に要する費用は含まれない。
・推計費用に含まれるのは,公費,保険料,一部負担金。
・市販の売薬は,保険外なので国民医療費には含まれない。
・国民医療費は,平成12年,平成14年,平成18年,平成28年に前年を下回っている。
・2009年度の国民医療費の伸び率は,GDP,NIの伸び率を上回っている。
・2009年度の国民医療費の総額を前年度と比べると,65歳以上,65歳未満ともに増加している。
・65歳以上の年齢層では,高齢になるにしたがって,受診率,1件当たりの日数,1日当たり医療費は増加する。
・国民医療費に占める公費負担医療給付分の割合は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。
・国民医療費に占める薬局調剤医療費は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。
・財源別国民医療費のうち患者負担は,増加傾向だか,一貫して増加しているわけではない。
・制度区分別国民医療費では,医療保険等給付分の次に比率が多いのは,後期高齢者医療給付分である。
・人口一人当たり国民医療費は,65歳以上は約70万円,70歳以上は約80万円,75歳以上は約90万円である。
実にさまざまな数字が出題されているのが分かると思います。
覚えなければならないものは,他の科目もたくさんある中で,これもしっかり覚えるのはとても大変だと思います。
数字をそのまま覚えるのはとても大変ですが,それを乗り越えたところに国試合格はあります。
必ず頭の中で整理しながら押さえていきましょう。
「急がば回れ!」
何となく覚えると,あいまいな知識になりがちですので注意が必要です。
それでは今日の問題です。
第27回・問題71 「平成23年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民医療費は38兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。
2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。
3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。
4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。
5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。
数字がいろいろ入れ替わっていますが,今までの知識で解ける問題です。
それでは解説です。
1 国民医療費は38兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。
これは間違いです。
出題は平成23年度です。平成12年度以降,前年よりも減少したのは,平成12,14,18,28年度の4回しかありません。したがって平成23年度は増加していたということになります。
2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。
これも間違いです。
国民医療費は,対国民総生産(GDP)比と対国民所得(NI)比があります。
そのうち10%を超えているのは,対NI比です。
対GDP比は10%を超えていません。
チームfukufuku21は,これを「10%の攻防」と呼んでいます。
覚え方はいろいろあると思いますが,10%を境にしてそれを上回っているもの,下回っているものという構図を頭に入れます。
10%を超えるのは,対NI比です。NIとGDPでは,NIが約400兆円,GDPは約500兆円です。それぞれを分母として,国民医療費を分子として計算すると,分母の小さい対NI比の方が数値が大きくなります。国民医療費は約40兆円なので,約10%ということになります。
3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。
これも間違いです。
財源別では,最も多いのは保険料ですが,約50%です。
保険料約50%,公費約40%,自己負担等約10%の割合です。このうち,公費は,国2:地方1の割合です。
4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。
これも間違いです。
最も多いのは,「循環器系の疾患」です。死因のうち,最も多いのは新生物ですが,医療費で最も多いのは「循環器系の疾患」です。これで2回目の出題ですね。
5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。
これが正解です。
<今日の一言>
数値について
国試で,数値を出題するときは,
●%
●割
●分の〇
●割を超えている
といったように出題されます。
決して細かい数値は出題されません。
ざっくり覚えることが何よりも大切です。
しかも天文学的な数字なので,年度によって大きく傾向が変わるものではありません。
国民医療費は,増大しているというイメージが強いので,減少している年度があることは勉強不足の人は知りません。
こういった一般イメージと違うところが,引っ掛けポイントとなりがちです。
勉強中に「あれっ?」と思ったところは,ぜひメモしておきましょう。
数値に限らず,そういったところが引っ掛けどころなのです。