2018年10月26日金曜日

国民医療費は出題確率100%!!~その7

今回も国民医療費を進めていきたいと思います。

今までの出題で覚えてきたことをまとめてみましょう。

国民医療費にかかわる出題ポイント(1)

・国民医療費 ➡ 40兆円を超えている。

・対NI(国民所得)比 ➡ 10%を超えている。

・公費が保険料を超えることはない!!

・入院 4割 入院外 4割 その他 2割

・最も多いのは「循環器系の疾患」

・65歳以上の医療費は約6割,70歳以上 約5割 75歳以上 約3割である。

・患者の支払う一部負担金は,国民医療費の約1割である。

・医療機関の費用のうち,人件費は5割を超える。

・国民医療費の財源は,公費 4割,保険料 5割,その他1割(一部負担金等)である。

・国民医療費のうち,病院が約5割を占める。

・国民医療費には,正常な妊娠・分娩に要する費用は含まれない。

・推計費用に含まれるのは,公費,保険料,一部負担金。

・市販の売薬は,保険外なので国民医療費には含まれない。

・国民医療費は,平成12年,平成14年,平成18年,平成28年に前年を下回っている。

・2009年度の国民医療費の伸び率は,GDP,NIの伸び率を上回っている。

・2009年度の国民医療費の総額を前年度と比べると,65歳以上,65歳未満ともに増加している。

・65歳以上の年齢層では,高齢になるにしたがって,受診率,1件当たりの日数,1日当たり医療費は増加する。

・国民医療費に占める公費負担医療給付分の割合は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。

・国民医療費に占める薬局調剤医療費は,増加傾向だが,一貫して増加しているわけではない。

・財源別国民医療費のうち患者負担は,増加傾向だか,一貫して増加しているわけではない。

・制度区分別国民医療費では,医療保険等給付分の次に比率が多いのは,後期高齢者医療給付分である。

・人口一人当たり国民医療費は,65歳以上は約70万円,70歳以上は約80万円,75歳以上は約90万円である。


実にさまざまな数字が出題されているのが分かると思います。

覚えなければならないものは,他の科目もたくさんある中で,これもしっかり覚えるのはとても大変だと思います。

数字をそのまま覚えるのはとても大変ですが,それを乗り越えたところに国試合格はあります。

必ず頭の中で整理しながら押さえていきましょう。

「急がば回れ!」

何となく覚えると,あいまいな知識になりがちですので注意が必要です。

それでは今日の問題です。

第27回・問題71 「平成23年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民医療費は38兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。

2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。

3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。

4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。

5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。


数字がいろいろ入れ替わっていますが,今までの知識で解ける問題です。

それでは解説です。


1 国民医療費は38兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。

これは間違いです。

出題は平成23年度です。平成12年度以降,前年よりも減少したのは,平成12,14,18,28年度の4回しかありません。したがって平成23年度は増加していたということになります。


2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。

これも間違いです。

国民医療費は,対国民総生産(GDP)比と対国民所得(NI)比があります。

そのうち10%を超えているのは,対NI比です。

対GDP比は10%を超えていません。

チームfukufuku21は,これを「10%の攻防」と呼んでいます。

覚え方はいろいろあると思いますが,10%を境にしてそれを上回っているもの,下回っているものという構図を頭に入れます。

10%を超えるのは,対NI比です。NIとGDPでは,NIが約400兆円,GDPは約500兆円です。それぞれを分母として,国民医療費を分子として計算すると,分母の小さい対NI比の方が数値が大きくなります。国民医療費は約40兆円なので,約10%ということになります。


3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。

これも間違いです。

財源別では,最も多いのは保険料ですが,約50%です。

保険料約50%,公費約40%,自己負担等約10%の割合です。このうち,公費は,国2:地方1の割合です。


4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。

これも間違いです。

最も多いのは,「循環器系の疾患」です。死因のうち,最も多いのは新生物ですが,医療費で最も多いのは「循環器系の疾患」です。これで2回目の出題ですね。


5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。

これが正解です。


<今日の一言>

数値について

国試で,数値を出題するときは,

●%

●割

●分の〇

●割を超えている


といったように出題されます。

決して細かい数値は出題されません。

ざっくり覚えることが何よりも大切です。

しかも天文学的な数字なので,年度によって大きく傾向が変わるものではありません。

国民医療費は,増大しているというイメージが強いので,減少している年度があることは勉強不足の人は知りません。

こういった一般イメージと違うところが,引っ掛けポイントとなりがちです。

勉強中に「あれっ?」と思ったところは,ぜひメモしておきましょう。

数値に限らず,そういったところが引っ掛けどころなのです。





最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事