就労による経済的自立だけではなく,自分で自分の健康・生活管理を行うなど日常生活において自立した生活を送ることができる日常生活自立,地域社会の一員として充実した生活を送ることができる社会生活自立があります。
これらは,どれが優先するというものではありません。
自立の一般的イメージは,経済的自立だと思われがちです。
そこがひっかけポイントになることはよく見えてきたことでしょう。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題68 事例を読んで,自立支援プログラムによる支援の進め方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例)
Cさんは重いうつ病を発症し療養に専念するために退職したが,経済的に困窮したため生活保護を申請した。保護開始後,Cさんは療養を要するものの病状は安定してきた。しかしCさんには,なお就労に対する躊躇があるようである。
1 Cさんには,できるだけ早期に保護から脱却することを目指す就労支援プログラムへの参加が提案された。
2 Cさんの自立支援プログラムへの参加は,ケースワーカーの判断で決定された。
3 Cさんの自立支援の内容は,共通の統一した支援目標に基づき作成されることになった。
4 Cさんに対しては,自立支援プログラムに参加することが,生活保護を継続するための必要条件であるとの説明がなされた。
5 Cさんには,ボランティア活動や試行雇用の機会の提供を視野に入れた自立支援プログラムが提案された。
自立支援プログラムの事例問題は,第24回,第25回,第26回,第29回に出題されています。
今日の問題はそのうち,第26回のものです。
第24回
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/10/blog-post_11.html
第25回
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/10/blog-post_12.html
同じような内容ですが,少しずつ違っています。
しかし,自立支援プログラムのことが分かっていれば,何ら難しくはありません。気を付けるべきポイントは,Cさんはうつ病患者であるというこです。
それでは解説です。
1 Cさんには,できるだけ早期に保護から脱却することを目指す就労支援プログラムへの参加が提案された。
これは間違いです。
就労支援プログラムは,自立支援プログラムの一つです。ここで初めて出題されました。
就労支援プロクラムとは,福祉事務所の就労支援員が,就労するために必要な面接の受け方,履歴書の書き方,あるいはハローワークまで同行するものです。
うつ病は回復期が一番大切な時期です。下手するとまた悪化する恐れがあるからです。
ここは焦らずじっくり支援していくことが必要です。
2 Cさんの自立支援プログラムへの参加は,ケースワーカーの判断で決定された。
これも間違いです。
参加は,説明を受けたうえで,被保護者の同意が必要です。
3 Cさんの自立支援の内容は,共通の統一した支援目標に基づき作成されることになった。
これも間違いです。
プログラムは類型化されたものかもしれませんが,支援目標は個別に設定されます。
4 Cさんに対しては,自立支援プログラムに参加することが,生活保護を継続するための必要条件であるとの説明がなされた。
これも間違いです。
自立支援プログラムは,被保護者の同意によって実施されます。参加しなくても,保護停止や廃止があるものではありません。
5 Cさんには,ボランティア活動や試行雇用の機会の提供を視野に入れた自立支援プログラムが提案された。
これが正解です。
Cさんはうつ病患者です。しかも現在は回復期にあります。この時期に自信をなくしてしまうとまた悪化してしまう恐れがあります。
経済的自立も大切ですが,今の時点では,社会生活自立を視野に入れることが大切でしょう。
経済的自立が最優先されるものでは決してないことを心に銘記しておきましょう。
<今日の一言>
国試までは限られた時間しかありませんが,今本格的に勉強を始めてもまだまだ合格できる実力をつけるだけの時間はあります。
国試の出題範囲は広いですが,決して深掘りしないからです。
ここで重要なのは,どれだけ勉強するか,ではなく,どのように勉強するか,です。
どれだけ勉強時間を使っても思考を動かさない勉強は,何の意味もありません。
頭で考えながら,確実な知識にしていくことが大切です。