社会福祉士は,多くの場合,社会福祉士の資格を持たなくても仕事ができます。
現時点(2018年10月時点)で社会福祉士が配置されなければならないのは,介護保険法に基づく地域包括支援センターのみです。
そのほかの多くの任用資格は,社会福祉主事(任用資格)あるいは社会福祉士です。
そのため,社会福祉士の配置が報酬上で評価されるのはほとんどありません。
それが社会福祉士の資格取得を目指すとき,勉強でモチベーションが上がらない理由の一つになることでしょう。つまり今の仕事で資格を得ても,給料が上がることはない,と思ってしまうのです。
これからも社会福祉士は数が必要ではないため,急激に合格率を上げて,数を確保するということはこれからもないでしょう。
しかし,確実に年1万人以上誕生している国家資格です。
社会福祉士を取得している専門職種はおそらく介護支援専門員だと思います。配置基準がないにもかかわらず,社会福祉士を目指す人が多いのは,資格を仕事に活かそうというものではなく,資格取得してよりよい仕事がしたいという人が多いように思います。
もし,今モチベーションが上がらないとしたら,なぜ資格取得を目指そうと思ったのか,その初心を思い出してほしいと思います。そこには必ず現状を打破する糸口があるはずです。
加算等は枝葉
話を戻します。社会福祉士が配置されることで報酬上の評価があるのは,現在のところ診療報酬のみです。
そのため,法的な配置基準はないものの加算を得るために,医療ソーシャルーカーは,実質上社会福祉士が採用されています。
これはとても重要なことです。
さて,保健医療サービスは,現行カリキュラムで登場した新しい科目です。そのため,試験委員は最初の頃は張り切りすぎた傾向にあったようです。
張り切るというのは,「MSWならこのくらい知っておく必要がある」というハードルが高かったことを言います。別な言い方をすれば,出題が細かすぎたということです。
診療報酬上の加算が国試で初めて出題されたのは,現行カリキュラムによる3回目の国試である第23回です。
加算は経営上重要なものです。
しかし,加算の算定は頻繁に変わるため,社会福祉士という国家資格を考えたとき,本当に国試で問わなければならない,という内容ではないように思います。
第24回では,一問丸ごと加算等が出題されています。
その後も加算は出題されていますが,加算の内容で正解があったのは,丸ごと出題された第24回のみです。
試験委員は張り切って出題したものの,その問題の正解率は極端に低かったのではないかと思います。
試験センターは,膨大なデータを持っています。
国試で不適切な問題は,合格基準点を超えた人の多くが間違ってしまうものです。
勉強した人は得点できる。
勉強が足りない人は得点できない。
これが国試の理想です。
加算は経営上重要ですが,細かい制度は仕事をしてからでも覚えられます。
変わったところが出題されるよ
このようなアドバイスがあります。
しかし,実際には制度改正があったもので,すぐ出題されるのは,多くても150問中1~2問です。
枝葉を追うのではなく,制度の根幹をしっかり押さえていくことが国試で得点するために極めて重要なのです。
今日の問題はお休みして,次回,関する出題の傾向を分析します。
今日言ったことの意味がよく分かると思います。
試験センターも試行錯誤しながら,国試を実施しているのです。
枝葉を正解にしてしまうこともありますが,社会福祉士に本当に必要な知識が正解選択肢に選ばれるのです。MSWに必要な知識ではなく,社会福祉士に必要な知識です。