今回は,更生保護施設について学んでいきましょう。
更生保護施設とは,更生保護事業法によって,以下のように規定されています。
更生保護施設
「更生保護施設」とは、被保護者の改善更生に必要な保護を行う施設のうち、被保護者を宿泊させることを目的とする建物及びそのための設備を有するものをいう。
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更生保護事業の内容
継続保護事業
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現に改善更生のための保護を必要としているものを更生保護施設に収容して、その者に対し、宿泊場所を供与し、教養訓練、医療又は就職を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善又は調整を図る等その改善更生に必要な保護を行う事業。
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一時保護事業
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宿泊場所への帰住、医療又は就職を助け、金品を給与し、又は貸与し、生活の相談に応ずる等その改善更生に必要な保護(継続保護事業として行うものを除く。)を行う事業。
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連絡助成事業
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改善更生を助けることを目的とする事業に関する啓発、連絡、調整又は助成を行う事業。
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このほかには,
保護観察所の長の委託を受けて
保護観察に付されている者に対しては,「応急の救護」。
保護観察に付されていない者に対しては,「更生緊急保護」。
を行います。
なお,継続保護事業は,更生緊急保護と異なり,収容期間の定めはありません。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題149 更生保護施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 更生保護施設は,更生緊急保護の対象者に限って収容保護を行う。
2 更生保護施設の収容期間は,3か月を超えてはならない。
3 更生保護施設は,少年と成人とを別の施設に収容しなければならない。
4 更生保護施設は,被保護者に対して社会復帰のための処遇を実施する。
5 更生保護施設の運営は,社会福祉法人に限定される。
更生保護施設そのものが出題されたのは,第28回と第26回の2回しかありません。
第26回の問題は,次回に紹介したいと思います。
それでは,解説です。
1 更生保護施設は,更生緊急保護の対象者に限って収容保護を行う。
更生保護施設は,保護観察所の長の委託を受けて,更生緊急保護も行っていますが,それだけではなく,独自に保護事業を行っています。
2 更生保護施設の収容期間は,3か月を超えてはならない。
更生緊急保護には,収容期間の定めがありますが,応急の救護を含めてそれ以外には,収容期間の定めはありません。
3 更生保護施設は,少年と成人とを別の施設に収容しなければならない。
このような定めはありません。
4 更生保護施設は,被保護者に対して社会復帰のための処遇を実施する。
これが正解です。
5 更生保護施設の運営は,社会福祉法人に限定される。
更生保護施設は,更生保護事業法に規定される「更生保護法人」が運営しています。
しかし,現在は規制緩和により,社会福祉法人,NPO法人なども更生保護施設を運営することができます。