社会福祉士の国家試験の合格基準は以下のようになっています。
1 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
2 1を満たした者のうち、以下の18科目群(ただし、(注意2)に該当する者にあっては7科目群。)すべてにおいて得点があった者。
[1] 人体の構造と機能及び疾病
[2] 心理学理論と心理的支援
[3] 社会理論と社会システム
[4] 現代社会と福祉
[5] 地域福祉の理論と方法
[6] 福祉行財政と福祉計画
[7] 社会保障
[8] 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
[9] 低所得者に対する支援と生活保護制度
[10] 保健医療サービス
[11] 権利擁護と成年後見制度
[12] 社会調査の基礎
[13] 相談援助の基盤と専門職
[14] 相談援助の理論と方法
[15] 福祉サービスの組織と経営
[16] 高齢者に対する支援と介護保険制度
[17] 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
[18] 就労支援サービス、更生保護制度
(注意1) 配点は、1問1点の150点満点である。
(注意2) 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第5条の2の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者にあっては、配点は、1問1点の67点満点である。
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19科目ありますが,就労支援サービスと更生保護制度は,出題される問題が4問ずつと少ないために,2科目で1群とされています。
総得点(150点)の60%は,90点程度となります。
国家試験の近年の合格率は,30%程度で推移しています。
つまり,90点程度を超える人は,受験者全体の30%しかいないことになります。
社会福祉士の国家試験を実施する「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」は,受験者の得点分布を公表していません。
そのため,平均点がどの程度のところにあるのかは推測の域を超えませんが,経験的なことから,70点台後半~80点台前半にあるのではないかとみています。
仮に第33回国試の平均点を79点とすると,69点~89点までに,受験者全体の7割近くが分布しているのではないかと思います。
さて,本題です。
合格基準点が89点のとき,自分の得点が69点だったとすると,とても点数が低いように思うかもしれません。
しかし,社会福祉士の国試は19科目もあるので,1科目1点を上乗せすると19点も伸びます。
現時点(5月)は,まだ時間があるので,すべての科目を同じようにまんべんなく勉強するようにしましょう。
得意科目で,プラス1点できても,苦手科目でプラスできなければ,全体の得点は伸びないからです。
人によって苦手にする科目が異なると思いますが,多くの人が苦手としているのは,
現代社会と福祉
社会保障
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
あたりです。
現代社会と福祉は,覚える内容が多く,見慣れない用語が並んでいるので気が引ける人もいるでしょう。
しかし,この科目の特徴は,現代社会をえぐりだすところにあるので,勉強せずとも解ける問題もあります。
そのため,受験者には意外と差が生じない科目です。
努力が点数に結びつきやすいのは,
福祉行財政と福祉計画
社会保障
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
もし各科目2点程度だったとしたら,各科目3点プラスは可能です。
第32回国試を受験した人の中で,以下の問題を正解できなかった人は,伸びしろたっぷりだと思います。
第32回・問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。
正解は,選択肢4。
第32回・問題50 「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は,150兆円を超過した。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は1割に満たない。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は1割に満たない。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。
正解は,選択肢3。
いずれの問題も出題頻度が高いものです。
合格基準点を超えるためには,誰も解けないような問題を正解することよりも,こういった問題を確実に正解することが欠かせないのです。
苦手科目であっても,こういった問題を確実に正解することで,得点を伸ばしていくことができます。