前回,紹介したものです。
自立準備ホーム(法務省のホームページから)
平成23年度から開始された「緊急的住居確保・自立支援対策」は,NPO法人等が管理する施設の空きベッド等を活用するもので,この施設を「自立準備ホーム」と呼び,あらかじめ保護観察所に登録しておき,保護が必要なケースについて,保護観察所から事業者に対して宿泊場所,食事の提供と共に,毎日の生活指導等を委託するものです。
行き場のない刑務所出所者等の帰住先・定住先を確保するため,これまで更生保護施設が中心となり,こういった行き場のない刑務所出所者等について,国の委託を受けて収容保護し,社会生活に適応させるための生活指導等を行ってきました。
しかし,それでもなお行き場のない刑務所出所者等が多数に上ることから,法務省では更生保護施設の受け入れ機能を強化するとともに,平成23年度から「緊急的住居確保・自立支援対策」による住居の確保の施策を実施しています。
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それでは,早速今日の問題です。
精神保健福祉士・第16回・問題66 更生保護施設と自立準備ホームに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 全国の更生保護施設の設置状況をみると,女子施設,男子施設がほぼ同じ割合で整備されている。
2 更生保護施設とは,引受人がいないなどの理由で適切な居住地が見つからず,生活の場が確保できない人を保護するための施設で,厚生労働大臣が認可する。
3 自立準備ホームとは,あらかじめ保護観察所に登録されたNPO法人,社会福祉法人などが,それぞれの特長をいかして,自立を促す施設である。
4 民間の更生保護施設は宿泊施設の位置づけであり,社会生活技能訓練(SST)や酒害・薬害教育等の効果的な補導援護処遇は,精神科病院が担う。
5 宿泊保護対象者は,更生保護施設,自立準備ホームのいずれか1つを選択することができる。
更生保護施設も自立準備ホームも勉強していなければ,日常生活ではおそらく見聞きするものではないと思います。
しかし,日本の福祉の歴史を紐解くと,入所施設の始まりは,現在の児童自立支援施設である感化院です。
つまり,入所施設が制度化されたのは,更生保護の領域だったということです。
その後,福祉と更生保護は,別の道を歩くことになりましたが,ようやく21世紀になり,融合するようになったと言えます。
更生保護制度はなじみのない科目だと思わずに,福祉の原点があると思って,頑張って覚えていきましょう。
それでは解説です。
1 全国の更生保護施設の設置状況をみると,女子施設,男子施設がほぼ同じ割合で整備されている。
男子施設の方が圧倒的に多いです。
2 更生保護施設とは,引受人がいないなどの理由で適切な居住地が見つからず,生活の場が確保できない人を保護するための施設で,厚生労働大臣が認可する。
認可は,法務大臣です。
更生保護領域は,基本的に法務省管轄です。
厚生労働省がかかわるものは,それほど多くはありません。
例えば,医療観察法における指定入院医療機関と指定通院医療機関の指定です。
ほかに厚生労働省がかかわるものがあったら,それをチェックしておくと良いと思います。
3 自立準備ホームとは,あらかじめ保護観察所に登録されたNPO法人,社会福祉法人などが,それぞれの特長をいかして,自立を促す施設である。
これが正解です。
自立準備ホームは,認可制ではなく,登録制であることに注意です。
4 民間の更生保護施設は宿泊施設の位置づけであり,社会生活技能訓練(SST)や酒害・薬害教育等の効果的な補導援護処遇は,精神科病院が担う。
更生保護施設は,日常の生活指導として,SST,薬害教育などを実施しています。
5 宿泊保護対象者は,更生保護施設,自立準備ホームのいずれか1つを選択することができる。
対象者が決めるのではなく,保護観察所が決めます。