保護観察官と保護司は,指導監督と補導援護という方法で保護観察を行っています。
かなり理解が進んできたのではないでしょうか。
それでは,早速今日の問題です。
第30回・問題148 更生保護制度の担い手や施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察官は,地方検察庁に配置されている。
2 保護司は,担当事件によっては給与が支払われる。
3 保護司の職務は,保護観察事件に限定されている。
4 更生保護施設への委託期間は,更生緊急保護対象者の場合,延長することが可能である。
5 更生保護施設は,地方公共団体が運営しなければならない。
保護観察官と保護司以外もまとめて出題されています。
4問しか出題されない科目なので,このような出題の仕方は上手だと思います。
それでは解説です。
1 保護観察官は,地方検察庁に配置されている。
保護観察官が配置されているのは,保護観察所と地方更生保護委員会です。
保護観察所は,保護観察を実施する第一線の機関です。
地方更生保護委員会は,仮釈放等の許否などを実施する機関です。
2 保護司は,担当事件によっては給与が支払われる。
(費用の支給)
第十一条 保護司には、給与を支給しない。
2 保護司は、法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。
3 保護司の職務は,保護観察事件に限定されている。
(職務の遂行)
第八条の二 保護司は、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、次に掲げる事務であつて当該保護観察所の所掌に属するものに従事するものとする。
一 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣伝の活動
二 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための民間団体の活動への協力
三 犯罪の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力
四 その他犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図ることに資する活動で法務省令で定めるもの
このように,保護観察以外にもさまざまな活動を行います。
4 更生保護施設への委託期間は,更生緊急保護対象者の場合,延長することが可能である。
これが正解です。
更生緊急保護は,6か月を超えない範囲で実施されます。しかし,必要な場合,6か月を超えない範囲で延長することができます。
5 更生保護施設は,地方公共団体が運営しなければならない。
更生保護施設は,以前は更生保護法人が設置していましたが,現在は,規制緩和で,更生保護法人のほかに,一般社団法人,一般財団法人も設置できるようになりました。
実際には,このほかの法人として,特定非営利活動法人(NPO法人)も設置しています。
いずれにせよ,地方公共団体が運営しなければならないという規定はありません。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
国家試験は,ボーダーラインを超える点数を取ると合格できます。 国家試験が終わると,「勉強不足だった」という声が聞こえてきますが,すべての人が勉強不足だったとは思いません。 一番目に考えられるのは,問題を読む力が不足していた。 時間がなくなっ...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
今日から福祉事務所に取り組んでいきたいと思います。 福祉事務所は,「低所得者に対する支援と生活保護制度」だけではなく,ほかの科目でも出題されます。 福祉事務所は,保護を実施しますが,そのほかの法も取り扱っているからです。 福祉事務所は,社会福祉法では「福祉に関する事務...
-
システム理論は,「人と環境」を一体のものとしてとらえます。 それをさらにすすめたと言えるのが,「生活モデル」です。 エコロジカルアプローチを提唱したジャーメインとギッターマンが,エコロジカル(生態学)の視点をソーシャルワークに導入したものです。 生活モデルでは,クライエントの...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
今回は,福祉ニードを取り上げたいと思います。 ニーズは,ニードの複数形ですが,明確な使い分けはなされていないようです。 どちらも同じ意味だととらえて良いでしょう。 ブラッドショーは,ニーズを以下のように類型化しています。 ...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
グループワークは以下の過程で実施されます。 準備期 ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。 この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。 ...