国家公務員は,国家公務員法により,採用試験を受けた者でなければ採用することができません。
国家公務員である保護観察官も当然採用試験があります。
現在は,以下の3種類があります。
・国家公務員採用総合職試験
・国家公務員採用一般職試験
・法務省専門職員(人間科学)採用試験
このうち,法務省専門職員(人間科学)採用試験は,2012(平成24)年度から実施されているもので,「矯正心理専門職区分」,「法務教官区分」,「保護観察官区分」があります。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題148 保護観察官と保護司に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 保護観察官は,福祉事務所に配置されている。
2 保護司は,都道府県知事が委嘱する。
3 保護観察官には,法務省専門職員(人間科学)採用試験がある。
4 保護観察は保護観察官,犯罪予防活動は保護司が分担する。
5 保護司の活動拠点として,更生保護サポートセンターが設置されている。
同じような問題が続いていますが,内容は少しずつ異なります。
そこが社会福祉士の国家試験の難しいところです。
間違っているものを消去することで,正解が残るというタイプの問題は,ミスは許されません。この問題はいかにもそのようなタイプの問題です。
それでは,解説です。
1 保護観察官は,福祉事務所に配置されている。
保護観察官が配置されているのは,保護観察所と地方更生保護委員会です。
2 保護司は,都道府県知事が委嘱する。
保護司を委嘱するのは,法務大臣です。
更生保護の領域では,都道府県の役割はまったくないと言っても過言ではありません。
3 保護観察官には,法務省専門職員(人間科学)採用試験がある。
これが正解です。
国家公務員になろうと思う人でなければ,どのように採用されるのかは知らないと思います。
そういった意味で,この選択肢を正解にすることができた人は,ほかの選択肢を消去した結果だと言えます。
4 保護観察は保護観察官,犯罪予防活動は保護司が分担する。
保護観察官と保護司には,業務分担はありません。
保護観察官と保護司とは協力して,業務を行います。
5 保護司の活動拠点として,更生保護サポートセンターが設置されている。
これがもう一つの正解です。
更生保護サポートセンターは,保護司の活動拠点として,さまざまな活動を行っています。
同センターには,企画調整保護司が配置されています。
<今日の一言>
過去問を解く意味
国試勉強では,過去問を使って勉強します。
使い方を間違うと何の効果も生まれません。
間違った使い方とは,正解を見つけるだけの勉強です。
何回か繰り返すと,答えを覚えてしまいます。
答えを覚えることができない人もいるので,答えを覚えることができるのは,それはそれで素晴らしいことです。
答えを覚えるとは,今日の問題なら「答えは,採用試験とサポートセンターである」といったものです。
更生保護サポートセンターは,以前にも出題されたことがあるので,それを覚えることは意味があるでしょう。
しかし,おそらく採用試験については,もう出題されることはないと思います。
先に書いたように,この問題は消去することで,答えが見えてくるタイプのものです。
つまり,重要なのは,正解よりもむしろ間違い選択肢です。
一つでも確実に消去できないものがあると,正解することができません。
そのために,正解ではない選択肢も毎回解くたびに考えて消去することが重要です。
これをしないで行う過去問勉強は,おそらく多くの場合,国試では実力を発揮することができないでしょう。
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