2020年5月29日金曜日

生活習慣病の発症と遺伝の関与


生活習慣病は,古くは「成人病」と呼ばれていたものです。

現在,生活習慣病と言い換えられているのは,発症は個々の長年の生活の積み重ねによるものであるからです。

生活習慣病という名称から,生活習慣が発症の要因であるように思われがちですが,実は,遺伝も大きくかかわっています。

糖尿病には,1型と2型があり,高年齢者に発症することが多いのは,2型糖尿病です。

日本人の糖尿病の9割以上は,2型糖尿病ですが,2型糖尿病は遺伝が大きくかかわり,糖尿病の遺伝子を持たない人は,暴飲暴食をしても発症リスクは低いと言われています。

それでは,今日の問題です。

難易度は,高めです。


第29回・問題5 生活習慣病に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病よりも1型糖尿病である。

2 アルコール摂取量は,メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる。

3 生活習慣病の発症に,遺伝要因は関与しない。

4 喫煙は,膀胱がんの危険因子の一つである。

5 身体活動レベルの増大は,生活習慣病の発症リスクを上げる。


難易度が高いのは,正解は選択肢4だからです。

今は,参考書などに書かれていますが,この時,初めて喫煙と膀胱がんのかかわりが出題されたのです。

ほかの選択肢をきっちり消去することによって正解できるタイプの問題です。

それでは解説です。


1 発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病よりも1型糖尿病である。

前説のように,2型糖尿病は,遺伝がかかわります。


2 アルコール摂取量は,メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる。

メタボリックシンドロームの診断基準は,胴囲に加えて,血中脂質異常,高血圧,高血糖の中で2つ以上が該当する場合です。


3 生活習慣病の発症に,遺伝要因は関与しない。

2型糖尿病のように,遺伝は発症に関与します。


4 喫煙は,膀胱がんの危険因子の一つである。

これが正解です。

この問題は,ほかの選択肢を消去することによってこの選択肢が残るタイプの問題です。
ほかの選択肢を消去できなければ,正解することができません。


5 身体活動レベルの増大は,生活習慣病の発症リスクを上げる。

身体活動の増大は,発症リスクを下げます。

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